この発言に対してKPMGの福島氏は「同感だが、重要なのはRPA+OCRのケースを積み上げること。たとえば請求書は品目や数字、企業名といった項目があり、帳票に応じた仕分けが必要だが、経理担当者が欲する機能はOCR+AIで実現できる。これらを導入し、音声認識や画像認識とRPAを組み合わせることで、SAPなどのERP(統合基幹業務システム)に入力できる利便性を体感すべきだ。ぜひKPMGにお声がけいただきたい」(福島氏)とRPA+OCRで実現する世界観を強調した。
業務自体のブラックボックス化をいかに避けるか
最後に「RPAの保守運用管理の現場から。直しつつスケールが必要」というモデレーターの百瀬氏の質問に対して、PwCの中村氏は「(管理ツールである)UiPath Orchestratorを早期導入すべきだ。現在不要でも各製品を組み合わせることでUiPathの能力を完全に引き出せる。また、チームは3~6カ月で人材が入れ替わるが、引き継ぎ漏れやロボット保守問題が発生する。チェックリストや仕様書を作成しながら長期運用を目指すためには、保守担当者の変更を前提にしなければならない」と提言する。
続いてPwCの中村氏は「弊社のロボットもすでに2世代目で、現在はUiPathの最新機能に追従させるため、3世代目への移行に取り組んでいる。バージョンアップに悩まされる顧客は少なくないが、それを乗り越え、バージョンアップし続けることでロボットは効率良く動くため、作り直しを前提にすべきだ。これらを実行できる組織が本当の意味で生産性向上につながると思う」と解決策を提示した。
アクセンチュアの田畑氏も「ロボットの保守性を担保すること。もの作りは部品化が重要だが、ロボットの台数が増えると共通化(機能の汎用化)が求められる。(UiPathで活用できるアプリストアサービスである)“UiPath Go!”のようにテンプレートを共有する仕組みも登場した。保守コストを抑える意味でも有用な存在」という。
田畑氏は続けて「もう1つは業務自体のブラックボックス化をいかに避けるか。担当者が異動した場合、業務がロボット任せになるため属人化問題が発生する。とある顧客はロボットがなくても業務ができる“避難訓練”を月1で実施している。よいプラクティスだ。文書化だけでも数年後にトラブルが発生するケースがあるため、(避難訓練を)皆さんにお薦めしたい」とPwCと同じく属人化に対する対処と、あえてRPAを使わない手法を披露した。