「おまめさん」のフジッコ、クラウド型コールセンターで応答率90%以上を確保

藤代格 (編集部)

2019-02-22 06:45

フジッコの位田氏
フジッコの位田氏

 1959年創業のフジッコ(神戸市中央区)は、煮豆や佃煮、総菜など食品の製造を扱う傍ら、通信販売事業も展開している。サプリメントや機能性健康食品などを中心に約35億円ほどを売り上げるコールセンター業務の運営基盤にクラウド型のコールセンターシステム「BIZTELコールセンター」が稼働。導入前と比べ、コスト削減と品質向上を実現しているという。

 2月13日、BIZTELを開発、提供するリンク(港区)が主催する「BIZTEL Expansion 2019」で、フジッコの通信販売事業部 カスタマーサービスグループ コールセンター長を務める位田隆志氏が導入の経緯、抱えていた課題や今後の展望などを語った。

 フジッコの通信販売事業は注文の7割が電話経由だが、今後大きな拡大が見込めないため、短期的にはオフラインを中心に据えた受電体制の構築に注力しつつも、長期的にはウェブ強化を視野に入れる必要があったと説明する。

 2015年当時のコールセンターは、テレビCM放映時などの局所対応をのぞき、基本的にはフジッコ社内の一拠点で平日のみ稼働。応答率や受注率は把握しておらず、オペレーターを適切に評価できない状態だったという。

 応答率を測定すると、6~9割を上下する非常に不安定な稼働状態であることが判明。そのほかにも、既存スタッフの契約が平日だけであり、土日祝日といった休日は稼働できない、一拠点のみのため台風などの災害時は稼働できないなど、いくつもの課題を抱えていたという。業務負荷を増やさずに改善するため、システムの導入が不可欠だったと振り返る。

 拠点の増減などの急な方向転換に対応でき、外部とも連携しやすいクラウドサービスを中心に検討。操作方法やレポート抽出などがシンプルで、顧客関係管理システム(CRM)と連携できるBIZTELを導入したという。

 CRMと連携し、着信時に顧客情報をポップアップ表示。平均通話時間を15~20秒ほど短縮したという。月で換算すると120時間相当短縮でき、応答率が向上。売り上げも増加し、コストは1年半ほどで回収できたとしている。

着信ポップアップ画面(提供:リンク)
着信ポップアップ画面(提供:リンク)

 自社で対応できない休日、事業継続計画(BCP)対策などから、外部のコールセンターを活用。自社センターとシステムを統一、ノウハウをコピーする形で展開したという。オペレーションやマニュアルを共有し、現在は自社に加え5つの外部コールセンターを運用。負荷を分散しつつ、93%以上の応答率を確保できているという。

 実績の把握、収集が可能になり、全拠点共通の実績表を運用。適切な評価指標(KPI)の設定、評価を実現しているという。実績はオペレーター自身でも確認でき、それぞれが自分を客観的に捉える体制を構築。自ら行動を改善するオペレーターが増え、数値も改善されていったと語る。

それぞれのレポートが確認できる(提供:リンク)
それぞれのレポートが確認できる(提供:リンク)

 オペレーターが電話対応後に入力する内容に加え、すべての通話内容がオンラインで確認可能。エビデンスとして活用できるだけでなく、今後は電話対応の評価会などを予定しているという。「率先して顧客志向をとっている通販部門はまだ少ない。活用していきたい」(位田氏)

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