Googleは米国時間2月20日、オンプレミス環境とクラウド環境の双方におけるサービスの構築や管理を可能にする「Cloud Services Platform」(CSP)のベータ版をリリースしたと発表した。CSPは、同社が2018年にカリフォルニア州サンフランシスコで開催した「Google Cloud Next '18」カンファレンスで発表したサービスであり、オンプレミス環境上のクラスタに対するリモートライフサイクル管理を実現するマネージド型の「Kubernetes」サービス「GKE On-Prem」なども提供する。ソフトウェアベースのこのプラットフォームは既存のハードウェア上でも実行でき、既存のネットワークやストレージ、アイデンティティ機能を統合できるようになっている。

クラウドコンピューティング市場で、マルチクラウド化やハイブリッド化が進む1年になることが確実視されている状況にあって、ハイブリッド環境に狙いを定めたこうした機能の提供はGoogleにとって大きな一手だと言える。米ZDNetのLarry Dignan編集長も述べているように、IaaS市場における戦いはほぼ決着がつき、「Amazon Web Services」(AWS)と「Microsoft Azure」、「Google Cloud Platform」(GCP)が勝ち組になろうとしている。とは言うものの、Red Hatの買収を発表したIBMなどの企業によるハイブリッド環境へのシフトが進むことで、クラウド市場の様相が変わる可能性もある。
Googleのエンジニアリング担当ディレクターであるChen Goldberg氏は、2019年のGoogle Cloud戦略にとって、ハイブリッドソリューションへの投資は要となるものだと述べている。同社はこれまでに「Apigee」のようなハイブリッドクラウド管理を実現するソリューションに投資している。また、クラウドにも自社ネットワークを拡張したいと考えている企業向けに専用線接続を提供する「Dedicated Interconnect」といったサービスを展開している。
Goldberg氏は、ハイブリッドクラウド戦略を採用する企業が抱える「最大の課題は、既存環境にあるシステムの統合と、オンプレミスとクラウド間の柔軟性、さらにはオンプレミスからクラウドに至るまでの管理、そして必要に応じた移行を同一の担当者が確実に実行できるよう保証することだ」と述べた。
同氏によると、CSPはこうした課題に対応する製品だという。
「Stackdriver Monitoring」と、「Istio」のポリシー管理機能によって、オンプレミスからクラウドまでのすべてを網羅する、単一の管理コンソールが顧客にもたらされる。さらに顧客は「GCP Marketplace」を利用することで、ビルド済みの配備テンプレートや、簡潔なライセンス、一本化された課金という特長を有する、オープンソースかつエンタープライズレディな商用Kubernetesアプリケーションを見つけ出せるようになる。
また、「CSP Config Management」によってCSPの機能を強化している。CSP Config Managementにより、顧客はロールベースのアクセス制御やリソースのクォータ(割当量)といった、マルチクラスタ環境の管理ポリシーを作成できるようになる。また顧客は、オンプレミスとクラウド双方におけるクラスタ全体に対して設定を配備できるようにもなる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。