Microsoftは、「HoloLens 2」を発表したMobile World Congress(MWC)で、別の製品も静かにデビューさせた。それは、生まれ変わった「Kinect」だ。
「Xbox」版Kinectは、モーションコントロールカメラおよびマイクで構成された実験的な製品だったが、2017年に生産終了を迎えた。Kinectの技術は、Microsoftが「HoloLens」ヘッドセットなどの開発を進める上で先駆的な存在となった。
このたび、HoloLens 2の発表とともに、Kinectが開発者向けキットおよびPC周辺機器の「Azure Kinect Developer Kit(DK)」として復活した。Azure Kinect DKはまた、PCを介さずにクラウドに接続して、コンピュータビジョン関連タスクの実行に使えるよう設計されている。現在、399ドル(約4万4000円)で先行予約できる。MicrosoftにとってXbox Kinectと「Azure Kinect」は、同じ物語の1部と2部のようなものだ。
Azure Kinectは、2018年に「Build」カンファレンスで初めて発表された。Microsoftによると、「HoloLens 2向けに開発されたものと同じToF(Time of Flight)深度センサ」と、音声認識用のマイク7個が搭載されているという。
Azure Kinectには深度センサ」と複数のマイクが搭載されていて、Microsoftのクラウドに接続する
提供:Microsoft
ヘルスケア企業のOcuveraはどうやらすでに、病院での患者の転倒や落下を感知するためにAzure Kinectを利用しているようだ。Azure Kinectは、Occipitalの3Dセンサ「Structure Core」をはじめ、多様化する類似ソリューションと同じように、空間マッピングのニーズに対応したり、作業スペースにコンピュータビジョンを追加したりするのに利用される可能性がある。
KinectとHoloLens両方の開発を率いたMicrosoftのテクニカルフェローのAlex Kipman氏は、ワシントン州レドモンドにある同社の本社を最近訪問した際に、初代のXbox Kinectを振り返った。「当時の居間には、Kinectのような機器が扱うエンターテインメント関連の信号はあまりなかった」「だが今はどうだろうか。『Alexa』がやっていることを見るといい。Alexaは人々を認識し、話したことを認識している。Alexaなどの機器がやっているたくさんのことは、Kinectが2010年に実現していた」
Kipman氏はさらに、Azure Kinectについてこう語った。「現在は、企業のワークロード分野で、Kinectが扱うような信号がはるかに多くなっている」「人々が企業内での実行を目指すワークロードは、クラウドに直結される傾向があり、プロキシ(サーバ)に設定したPCを経由することは少ない。それでわれわれは、Windows向けKinectの生産を終了し、今回Azure Kinectをリリースした。Azure Kinectは、PCに接続する機能も残っているが、モノのインターネット(IoT)機器として当社のクラウドに直接接続することもできる」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。