アドビシステムズは2月22日、企業向けコンテンツ管理システム(CMS)の最新版「Adobe Experience Manager(AEM) 6.5」を発表した。4月からの提供を予定している。
AEMは2010年7月にDay Softwareを買収することで取得した製品で、「Adobe Experience Cloud」に属する。国内では全日空や丸井、花王、パナソニックなど各種業界で導入されてきた。
AEM 6.5は「Content Velocity」「Fluid Experiences」「Experience Intelligence」をキーワードに、コンテンツ制作・管理ワークフローの効率化やコンテンツ配信サービスの強化、AIによるコンテンツ管理の効率化とコンテンツ制作の迅速化を図る。
アドビシステムズ グローバルサービス統括本部 プロダクトエバンジェリスト兼シニアコンサルタント 安西敬介氏
アドビシステムズ グローバルサービス統括本部 プロダクトエバンジェリスト兼シニアコンサルタント 安西敬介氏は「消費者のマルチデバイス化に伴う各チャネルへのプロモーション更新は担当者間のやり取りが増えて工数やリードタイムが増えてしまう。その結果として一貫した顧客とのコミュニケーションが不可能。各チャネルに合った形でコンテンツ配信、管理するのが(AEMの)特徴」と語った。
アドビシステムズが提示した調査データによれば、消費者の複数デバイス利用率は46%に及ぶ。また、接触媒体数を増やすことでブランドへの信頼度が向上するという結果も出ていることから、企業のプロモーション担当者はウェブサイト担当者やアプリケーション担当者、デジタルサイネージ担当者へ適切な素材を提供しなければならない。
だが、各チャネルへの反映は容易でなく、「メール添付で素材を渡す企業や、良くてもファイル共有サービスを用いる程度。ある企業はプロモーション担当者が異動し、素材の行方が分からなくなった」(安西氏)ケースもあるという。
同社が提示したデータによれば、マーケティング担当者の課題として、アセット作成やキャンペーン展開に要する時間がかかると考える割合は85%、チャネル増加に伴うコスト増を感じる割合は71%、パーソナライゼーションに伴うアセット量が増加したと認識する割合は76%にも及ぶ。
このような煩雑さを軽減するため、コンテンツ管理とアセット管理を兼ね備えるAEMを用いれば、「同一プロモーションのコンテンツを一貫したチャネルを通じて展開可能になる」(安西氏)とアピールする。
Content Velocityの文脈ではコンテンツ制作・管理ワークフローの効率化を目指すため、制作部門との連携を強化する「Adobe Asset Link」と、アセットの更新やフォルダの同期を容易にする「AEM Desktop App」の2機能を披露した。
Adobe Asset Linkの概要