ネットアップは2月26日、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品「NetApp HCI」戦略の記者向け発表会を開催した。同社は2018年11月8日、NetApp HCIシリーズの新製品としてコンピューティングノード「H410C」、GPUも搭載するコンピューティングノード「H610C」を発表している。
発表会でシステム技術本部 ソリューションアーキテクト部 部長 神原豊彦氏は「いかにクラウドを使い倒すか。同時に見直されつつあるオンプレ(オンプレミス)の世界をHCIに生かす」同社の姿勢、もしくはビジョンを披露する場となった。
NetAppはストレージベンダーとして四半世紀以上の歴史を持つ米国企業だが、HCIに注力する理由として顧客から寄せられる相談が背景にあるという。
ネットアップ システム技術本部 ソリューションアーキテクト部 部長 神原豊彦氏
イスラエルのThe Coca-Cola Companyは、製造プラントの自動化や品質向上を目的に製造ラインの改善に着手したものの、新たな管理システムから上がってくる膨大なデータでサーバがパンク。対応に追われた少数の担当者は拘束され、本来1ミリ秒の応答性能が120ミリ秒まで増加した。
米国ミズーリ州で小児病院などを展開するChildren's Mercyは、仮想デスクトップ基盤(VDI)や医療用画像管理システム(PACS)を導入しているが、医療ITの高度化に伴いデータ量の肥大化に悩まされていたという。最初に破綻を来したのはオンプレのバックアップサーバ。
米国の医療現場ではデータ保存の義務化が政府から定められており、バックアップサーバの停止は病院運営の破局を招くことから、たった6人のIT担当者が交代で対応したそうだ。「類似したケースは国内自治体やサービス業でも見受けられる」(神原氏)という。
ドイツのITサービス系企業であるDARZは、社内で運用するコンテナソリューションをContainer as a Serviceとして外販している。問題となるのが、コンテナを適切に管理するクラスタプラットフォームの運用だという。「エンジニアは手元にあるノートPCで作業を進めたがり、プライベートクラウドとパブリッククラウドをまたいだデータ共有が課題となる」(神原氏)
前述した2つの事例と同じく、各社がネットアップに課題解決方法を持ち込んだところ、The Coca-Cola Companyはソリッドステートドライブ(SSD)ベースのNetApp HCIとクラウド運用で元の1ミリ秒に復元。Children's Mercyはデータの流れを見直すことで500時間の削減に至った。DARZも社内外で運用する1000以上のコンテナ展開が可能になったという。
これらの顧客企業に共通するのは、「新しいアプリ(アプリケーション)の展開をもっと速く。少しでも多くのフィードバックを」「パブリッククラウドのようなインフラ操作や運用を」「可視化されて予測可能なコンピューティング性能を」といった声だと説明する。