Cisco Systemsはスペインのバルセロナで開催されている世界最大級のモバイル見本市「MWC 2019」で現地時間2月24日、世界のデジタル経済を活性化する取り組みの一環として、「Google Station」プログラムと連携し、10億人規模の人々に対して安定した公共インターネット接続をもたらすためのイニシアティブを発表した。
Ciscoは、このイニシアティブによってコネクティビティの水準が低い、あるいは制約がある世界各地のコミュニティーに焦点を当て、「極めて高度なセキュリティを実現し、アクセス可能かつ高速で信頼性の高い持続可能な公共Wi-Fi」の提供を目指すと述べた。
現在、スマートフォンは広く普及しており、5Gは超高速接続における「Next Big Thing」(次の大ブーム)ともてはやされている。また、数え切れないほどのビジネスが24時間365日、安定してウェブにアクセスできることを前提としている。
こうした状況は西欧諸国や都会では大抵当たり前であるが、最も基本的なインターネット接続に必要となるインフラさえ有していないコミュニティーが数多くあり、そこに住む人々は、コネクティビティやIoT、データ、モビリティに根ざしたモデルに向かって世界経済がシフトしていく「デジタル経済」と呼ばれるものに参加できないでいる。
こういった要素すべては、ビジネスの変化や、コンシューマーと企業とのやり取りの変化とともに、新たなビジネスモデルや、売上機会、キャリアなどの創出に寄与している。
とは言うものの、国際電気通信連合(ITU)と国連教育科学文化機関(UNESCO)によって設立されたBroadband Commissionが2017年9月に発表した世界のコネクティビティに関するレポート「The State of Broadband: Broadband Catalyzing sustainable development」(ブロードバンドの状況:ブロードバンドが促す持続可能な開発)によると、世界人口の半数近くはインターネットへの接続手段を有していないという。このことは、デジタル経済が日々の生活にもたらす機会に恵まれていない人々が数え切れないほど多くいる可能性を示唆している。
CiscoとGoogle Stationプログラムが連携することで、ネットワーク接続の行き届いていない地域において、インターネットサービスプロバイダー(ISP)や施設、政府機関が利用できる公共のWi-Fiネットワークの実現に向けた投資が行われる。Ciscoは資金とネットワーク技術を提供し、Googleはネットワーク管理システムを提供するという。
Ciscoのエンタープライズネットワーキングビジネス部門のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのScott Harrell氏は、「われわれは10億人規模の人々にネットワーク接続を提供し、新たな経済的機会をもたらすために、Google StationやISP、政府機関と連携できることをうれしく思っている」と述べ、「公共のWi-Fiを持続可能なものにすることで、障壁を打ち壊し、ワイヤレスアクセスの広い普及を実現するのだ」と続けた。
MWC 2019におけるその他の関連ニュースとして、Ericssonが「Ericsson Spectrum Sharing」ソフトウェアをステージで披露したというものもある。同社によると、この帯域共有ソフトウェアはIntelの5Gモバイルトライアルプラットフォームを活用することで、4Gおよび5G双方のトラフィックを同時に処理できるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。