福岡県北九州市と日立製作所は2月27日、地方公共団体での「総合行政ネットワーク(LGWAN)」を経由したパブリッククラウド利用や事務アプリケーションの共同利用化に向けて、3月に実証実験を行うと発表した。業務効率の改善と安全性の確保を両立できるかが焦点となる。
実証実験は、日立が2018年8月から提供するLGWAN-ASPサービス「地域IoT連携クラウドサービス」を利用し、具体的には、LGWAN接続系の業務システム環境からパブリッククラウドを利用するためのネットワーク環境を分離してウイルス感染などを防ぐ「無害化通信」を維持しながら、庁内データの外部サービスと連携させる。
実証は北九州市が取り組む「パブリッククラウド利用検討プロジェクト」「文書事務見直しプロジェクト」の2つを推進する目的もあり、OCR(光学認識)やAI(人工知能)、RPA(ソフトウェアロボットによる自動化)などの技術も用いた庁内文書事務の効率化を実現する新たなアプリケーションも検証するという。
「パブリッククラウド利用検討プロジェクト」の実証イメージ(出典:日立製作所)
日立製作所は、地方公共団体で行政事務のデジタル化やデータ、クラウドの活用が急務とされる一方、「自治体情報システム強靭性向上モデル」に配慮した安全なネットワーク環境の確保が課題だと指摘する。そこで北九州市のLGWAN接続系業務システム環境とAmazon Web Services(AWS)とのセキュアな接続およびその有効性を探るとしている。
北九州市は、実証結果からパブリッククラウド活用の技術的課題を整理し、文書事務の効率化とペーパーレスの推進、市民サービスの向上、地方公共団体とのアプリケーションの共同利用化に向けた取り組みを推進していくという。