東京海上ホールディングス(以下、東京海上HD)は、東京海上グループのデータサイエンティストの育成を目的として、グループ専用の育成プログラム「Data Science Hill Climb」を創設した。設計の監修は、東京大学大学院 工学系研究科特任准教授の松尾豊氏によって行われた。
プログラムは東京海上HDの社員が受講し、200時間以上にわたって確率統計や線形代数といった基礎数学から、人工知能(AI)や機械学習モデルにおける理論的背景、プログラミングによる実装までを学ぶ。ビジネスに活用するための演習に参加することで、データサイエンティストを目指すとしている。
育成するデータサイエンティストの人数は、現時点で数十人ほどだという。挙手制や指名制といった選出方法は未定だが、数理を専門とする人物などを考えているとのことだ。カリキュラムの運営は、それぞれデータサイエンス人材教育の経験を有するNABLASとALBERT、スキルアップAIの3社によって行われる。
東京海上HD によれば、2018年度までに同プログラムの試験的な運用を完了し、2019年度から正式に運用を開始する予定だという。そして、2020年度以降も研修プログラムを充実させ、デジタルビジネスを担う人材の育成に取り組んでいくとのことだ。
これまで同社は、安心、安全の領域において、「顧客の万一の時を支え続ける」という理念のもとAI、機械学習を活用した保険引き受け業務の効率化や事故の予防、軽減を可能にするサービスの開発に取り組んできたとする。インシュアテックの実現に向けて、データサイエンティストにはテクノロジに加え、保険業界の知識も必要だと考えているが、そうした人材は現時点で多くないため、将来を見据えてプログラムの設立に至ったと説明した。
将来的には、同プログラムを社外にも提供することも検討している。加えて、データを既存業務に活用するだけでなくデータから新たなビジネスを生み出すような取り組みも考えているという。