福島県で同一空域・複数ドローン事業者のための運航管理システムの実証試験

NO BUDGET

2019-03-05 09:43

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とNEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天、KDDI、ゼンリン、日本気象協会は3月1日、福島県南相馬市の南相馬市復興工業団地内にある「福島ロボットテストフィールド」で行った、同一空域で複数事業者のドローンが安全に飛行するための運航管理システムの実証試験での状況を発表した。

 試験は2月25~28日の期間に実施された。その結果、「運航管理統合機能」「運航管理機能」「情報提供機能」で構成される同運航管理システムが、正常に作動することが確認された。今回開発されたシステムは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が担当する全体設計に基づいて3つの機能それぞれが協調的に動作するようになっている。

飛行経路図
飛行経路図
飛行スケジュール
飛行スケジュール

 高密度で複数のドローンが飛び交う区域では、衝突などの危険を確実に回避するため、全ての機体の飛行計画と飛行状況を掌握して、ドローンの運航を統合的に管理する必要がある。さらに、ドローンを安全に運航するためには、気象情報や地形、建物の3次元地図情報をドローン事業者に提供する必要がある。

 今回の試験では、福島ロボットテストフィールドとその周辺の900×600メートルの範囲に離着陸場を8カ所設置し、災害調査、警備、物流、郵便という4つの利用シーンを想定し、合計10機のドローンを目視外で自律飛行させた。飛行時間は15分程度で、運航管理統合機能は複数ドローンの飛行計画の調整および飛行中のリアルタイムでのドローン位置情報管理を、人の手を介さず自動的に実施した。

運航管理システムにおける飛行状況管理画面(イメージ)
運航管理システムにおける飛行状況管理画面(イメージ)

 災害調査ドローンでは、面積約300×200メートルの調整池の状況を把握するため、高度5~30メートル、毎秒4メートルでの飛行計画が申請された。一方、警備ドローンは高度20~60メートル、面積約200×100メートルで研究施設周辺の警備を行った。その際、警備ドローンの飛行経路と災害調査ドローンの飛行経路の重複を確認したため、警備ドローンの飛行経路変更を指示し、災害調査ドローンの飛行エリアを迂回する経路の再申請を要請することで飛行経路の重複を解消し、警備ドローンの離陸を許可した。

 また物流ドローンが約2.0キロの救援物資を避難所へ運搬するため、高度40メートル、毎秒6メートルの速さで、約800メートルの距離を飛行する計画が提出され承認された。その後、郵便ドローンが親書を避難所へ運搬するため、高度40m、速度は毎秒6メートル、約500メートルの距離を飛行して物流ドローン離着陸場の近くに着陸する計画が提出されたが、到着が同じタイミングになったため、郵便ドローンへ着陸時間を遅らせる指示をした上で、郵便ドローンの離陸を許可した。

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