日本マイクロソフトは、5月1日の元号改正に向けてユーザーにシステム環境の準備と対応を呼びかけている。同社は、毎月提供する更新プログラムを通して自社製品の新元号対応を進めるとしているが、それだけでは不十分なケースもあるという。
特に注意が必要なのは、データの送信元と送信先における相互運用である。データ交換で用いられることが多いXLSX、CSV、JSON、XMLなどでは、和暦が文字列として使用されている場合があるという。その際は、データの送信元、送信先の相互運用、データ交換における処理の方法について慎重に調査、検討すべきだ。
日本マイクロソフトによると、実際、平成初期に作られたソリューションの中には、2桁を平成の和暦、4桁を西暦と判断する実装もあることが確認されている。また、データの送信側と受信側の関係を明らかにしてから、更新の順番を計画するべきである。送信先よりも送信元が先に新元号に対応した場合、受信データに含まれる日付を認識できないといったリスクがあるからだ。考慮が必要な項目として、以下のものがある。
- 日付フォーマットの変換
- 新元号を一文字で記した合字 (例:㍻) の追加
- 合字を含めた元号の並べ替えロジックの見直し
- 元年という表記とそのデータが及ぼす影響
日本マイクロソフトはまた、新元号が公表される前にシステムが破損していないかを確認し、その後、Windows向け更新プログラムをインストールしておくことを推奨している。システムのアップデートを長期間行わないと、次にアップデートを行う際に時間がかかることや、インストールが途中で失敗することがあるからだ。
複数のベンダーのソリューションを導入している場合、更新作業のスケジュールが複雑になることが予想される。その場合、OSやアプリケーション、サーバにインストールされているサービスなどの依存関係を明らかにした上で、新元号対応に向けた作業スケジュールを調整すべきである。
そして、新元号公表後の更新プログラム適用を推奨している。もし、Windows製品の更新プログラム適用時に問題が発生した場合は、FAQサイトなどの参照を呼びかけている。それでも問題が解決しない際は、サポートに問い合わせてほしいとのことだ。
日本マイクロソフトは、新元号の使用に向けて以下のような段階的な対応を開始している。
- Windows
- 和暦がハードコードされたモジュールを修正し、レジストリで管理
- 日付フォーマットを変更(例:平成 02年〈 成と0の間に半角スペース〉 → 平成 2年)
- 「元年」表記をデフォルトに変更 (「1年」にも変更可能)
- .NET Framework
- 「.NET Framework 3.5」でも元号情報をレジストリから取得し、新元号に対応できるよう変更
- 「平成32年」などの許容可否をデフォルトでは Windows レジストリで判断するよう変更
- Windowsと同様、「元年」表記をデフォルトに変更 (「1年」にも変更可能)
- Office
- 日付挿入機能や日付計算機能などの新元号対応