グーグル、スマホ上で学習するAI訓練システムを備えた「TensorFlow Federated」公開

Laura Hautala (CNET News) 翻訳校正: 編集部

2019-03-07 10:12

 Googleが開発した新しいコンピューティングツールを利用すれば、開発者はユーザーのプライバシーを尊重する人工知能(AI)搭載アプリを構築できる。

TensorFlow

 Googleは米国時間3月6日、「Federated Learning」と呼ばれるAI訓練システムを組み込んだオープンソースソフトウェア「TensorFlow Federated」をリリースした。TensorFlow Federatedはスマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスに分散しているデータを使用して、新しい能力を習得する。しかし、そのデータを学習のためにデータを中央サーバに送り返すのではなく、スマートフォンやタブレット上で学習し、学習したことだけをアプリメーカーに送り返す。

 Federated Learningは「デバイス上にデータが存在する場所のすぐ隣で、機械学習アルゴリズムの一部」を実行すると、Google ResearchのプロダクトマネージャーのAlex Ingerman氏はインタビューで述べた。このアルゴリズムは既に知っていること(電子メールへの返信の提案など)をスマートフォン上のデータに適用し、そのプロセスで学習した内容の要約を作成して返信する。

 TensorFlow Federatedは、コンピューティング業界を席巻しているAI革命に、プライバシーを尊重する重要な新機能を追加するものだ。AIは機械に十分な学習をさせて、現在では人間を必要とする作業を完了できるようにすることで、私たちの働き方や生き方を変えると期待されている。例えば、多くの人がテキストメッセージアプリの辞書に「side-eye」(目だけを横に動かして不満やいら立ちを伝えること)という単語を追加した場合、アプリは独力でその単語の語法を理解して、標準の辞書に組み込むことができる。

 これらのタスクの処理能力を高めるために、機械は大量のデータを見る必要があり、そのことがプライバシーを懸念する人々に不安を抱かせている。Federated Learningはそうした懸念を和らげるのに役立つだろう。

 TensorFlow Federatedは「Android」スマートフォンや「iPhone」向けの「Gboard」キーボードなど、Googleのいくつかのアプリに既に組み込まれており、入力候補を提示するために入力パターンを分析している。今回、TensorFlow Federatedが無料で共有されるオープンソースソフトウェアになったので、AIプロジェクトに携わるほかの開発者も、一から始める必要がなくなる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]