最高情報責任者(CIO)の役目はもともと、ハードウェアやソフトウェアを管理することだったかもしれないが、今や新たな仕事が与えられようとしている。それは、急激で大規模な変化の時代についていけるように、企業文化を作り変える仕事だ。
IT部門の責任者は、絶え間ない変化の時期にある組織の文化を確立するにあたって、重要な役割を果たす可能性がある。その変化の大部分はIT部門が先頭を切って推進しているデジタル変革プロジェクトがもたらしたものだ。
Gartnerは、CIOが働き手や業務プロセスに与えている影響は大きく、企業文化の変化に対するCIOの責任は、2年以内に人事部門の責任者に匹敵するものになると予想している。
同社によれば、CIOは技術的な決断を通じて適切な企業文化を生み出すことが可能であり、これまでデジタル変革を推進してきた過程で、企業文化の変革を主導するだけの経験を積んできているという。
さらにCIOは、変化を主導する役割に慣れ親しむようになってきているようだ。Gartnerのリサーチ担当バイスプレジデントElise Olding氏は、多くのCIOは、適切な文化はデジタル変革の取り組みを加速すると考えていると話す。
ほかのCIOからも、同様の話を繰り返し耳にする。英国の慈善団体Parkinson's UKのデジタル変革およびコミュニケーション担当ディレクターJulie Dodd氏は、デジタル変革を成功させるには、文化の変革と、技術は組織の目的を素早く実現するのに役立つと認知してもらうことが必要だと述べている。
ただし、CIOが推進してきたデジタル変革プロジェクトの中には、成功とは言えないものもある。IT主導の変革が潜在的に持っている力を信じてもらうのは、難しい仕事だ。デジタル変革プロジェクトの成功は、組織の分化を変えられるかどうかにかかっているが、組織に染みついた個性を変えるのは難しい。
Gartnerの調査でも、その難しさが明らかになっている。同社によれば、変革プロジェクトの50%は明らかに失敗であり、その主な原因は変化に抵抗する組織文化にあるという。Gartnerのリサーチ担当バイスプレジデントChristie Struckman氏は、CIOがデジタル変革に取り組む際には、まず組織文化の変革から始めるべきであり、この仕事を後回しにすべきではないと述べている。