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「OMRON connect」データ連携基盤の勘所--事業戦略とアーキテクチャを統一

鈴木恭子

2019-03-08 07:00

 血圧計や体組成計などの健康医療機器を開発、販売するオムロン ヘルスケアがデータヘルスケア分野に注力している。2016年11月に提供を開始した健康管理アプリ「OMRON connect」は、世界119カ国で約180万人の利用者を擁する(2018年12月末時点)。

 「利用者は自身のバイタルデータ(人体に関するデータ)を活用することで、さまざまな健康・医療関連のサービスを活用できるようになる」と語るのは、オムロン ヘルスケア 新規事業開発統轄本部 データシステム本部 システム開発部 部長を務める芦田尚人氏だ。具体的にはどのような取り組みなのか。

オムロンが目指す“ゼロイベント”

 OMRON connectは、オムロンの医療機器で測定したバイタルデータを、iOS/Android対応のスマートフォンで管理できる無償のアプリである。測定、収集したデータはクラウドに保存し、サードパーティが提供する健康情報アプリやダイエット(食事記録)アプリなどとも連携して利用できる。

 血圧計や体組成計で測定したデータをパネルやグラフで表示するほか、連携アプリを起動するとバックグラウンドでOMRON connectがデータをアップロードし、連携アプリのユーザーインターフェース(UI)でデータを活用できるのが特徴だ。

 こうした取り組みについて芦田氏は、「オムロン ヘルスケアが目指すのは“ゼロイベント”の実現だ。これは、われわれ1社だけでは実現が難しい」と説明する。

オムロン ヘルスケア 新規事業開発統轄本部 データシステム本部 システム開発部 部長 芦田尚人氏
オムロン ヘルスケア 新規事業開発統轄本部 データシステム本部 システム開発部 部長 芦田尚人氏

 ゼロイベントとは、脳卒中や心筋梗塞など、高血圧が原因で起こる生死を左右する疾患(イベント)をゼロにする取り組みを指す。そのためには、医療機関や保険会社といった異業種企業が提供するサービスと連携していくことが重要になるという。

 「血圧は(人体の)状態性を示すインデックス。高血圧の要因は、塩分摂取や交感神経の状態、飲酒、禁煙、肥満などが挙げられる。つまり、血圧の数値を管理するだけでは、イベントは低減できない。個人を取り巻く生活環境を測定し、体組成計や活動量計などのデータを併せ持つことで、その個人に最適な医療の貢献ができる」(芦田氏)

事業戦略とアーキテクチャの統一にこだわった理由

 サードパーティとの連携を実現するために留意したのが、「データの蓄積と配信をスムーズに実行する仕組みの構築」と「グローバルでの一貫した事業戦略とアーキテクチャの採用」だ。

 「『ゼロイベントの実現』という大枠を達成するためには、オムロン ヘルスケア全体として事業戦略を統制し、各国で“ブレ”が生じないようにすること。そのためには、同じアーキテクチャを採用し、デバイスの通信部分を共通化した上でデータの蓄積や活用がスムーズにできる基盤の構築を目指した。特定の国だけでしか利用できない環境やツールを導入した場合には、運用に支障を来す」(芦田氏)

 一方、どのような企業と提携し、どのようなサービスを展開するかのビジネスモデルは、KPI(評価指標)を考慮した上で各国に一任する。アーキテクチャと事業戦略は統一し、その上で稼働するサービスはユーザーニーズを考慮して、現地法人の担当者が企画するという。

 データ連携の仕組みで同社が導入したのは、データソースから抽出して変換してロードする“ETL(Exact Transform Load)”と複数のアプリケーションが動的に連携できる“ESB(Enterprise Service Bus)”の機能を利用できる「Talend Data Fabric」だ。Talend製品はオープンソースソフトウェア(OSS)がベースだが、商用版はより高機能となっている。

 芦田氏は「複数のシステムインテグレーターの提案書にTalendが入っていた。OMRON connectはデータをサードパーティのアプリと連携するので、データの暗号化や匿名化が必須となる。さらに、各国の法律に則ったデータ規制や加工の手法についても、柔軟性が要求される。Talendにはそうした機能がすぐれていた」と説明する。

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