本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- 中国市場が回復基調に転じた背景
- 人民元相場の戻りは中国関連株の支え
- 見直されつつある中国関連株
これら3点について、楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストの香川睦氏の見解を紹介する。
中国市場が回復基調に転じた背景
米国市場で株高基調がいったん止まったことで、目先は日本株も調整モード入りしている。こうした中、中国市場が戻りを鮮明にしている。
中国本土の上海総合指数の年初来騰落率は+24.4%となり、米国株式(S&P500指数の+10.5%)や日本株式(TOPIXの+8.1%)を上回っている(3月6日時点)。
中国市場が堅調である背景としては
(1)米中貿易摩擦を巡る不透明感が両国の交渉進展で緩和しつつある
(2)5日から開催されている全人代(全国人民代表大会)に向け「景気対策発表」が期待されていた
(3)MSCIが世界株式指数や、新興国株式指数における中国A株のウエイトを段階的に引き上げることを発表した
ことが挙げられる。
図表1が示す通り、中国株式は2018年、経済成長率の減速と米中貿易摩擦の影響を悲観し大きく下落した。ただ、上記の悲観が後退するのに伴い、短期(20日)移動平均線に沿って底入れし、長期(200日)移動平均線を上抜けてきた。特に(3)は、QFII(中国A株を購入するための適格国外機関投資家制度)への、外国人投資家の申請が急増している状況も伝えられている。
こうした中国株の戻り基調が短期的な事象にとどまるか、長期的な視野で見た回復トレンドなのかは、世界市場、新興国市場、日本市場に総じて大きな影響を与える要因であるので要注目だ。
図表1:中国株式の見直しが進んでいる

*中国株式市場=MSCI中国株式指数
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2018/1/1~2019/3/6)