NECは3月8日、社会課題を解決するAI(人工知能)人材を輩出するためのプログラム「NEC アカデミー for AI」を4月に開講すると発表した。同プログラムは、AIの活用を考える社会人や大学生を対象としており、実践を通してAI人材としての独り立ちを目指す「入学コース」とAI人材に必要な知識を選んで習得できる「オープンコース」の2つを用意する。同社は3年間で入学コース100人、オープンコース1000人の受講を目指すとしている。
入学コースでは、NECのデータアナリスト指導のもと、実際のプロジェクトを題材として、AIをビジネスに活用するための実践経験を積むことができるとする。定員20名で、入学時期は4月と10月(2019年度は10月のみ)、1年間の昼間通学制だ。また、入学者に自己学習環境を提供するほか、学習動画を用いた知識習得や分析コンテスト「NEC Analytics Challenge Cup」への参加を通した人材交流も行う。
オープンコースでは、AI人材に必要とされる基本的な技能を20日間で身につけるための「ブートキャンププログラム」や、ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力といった専門スキルを習得するための50の研修プログラムを提供する予定。同コースは都度申込で研修期間は1日から、受講費用は研修によって異なる。
同アカデミーのアドバイザーは、滋賀大学のデータサイエンス学部教授である河本薫氏。「このアカデミーは、NECで働くエキスパートが後進を育成するために作られた。データや分析手法を使うだけでなく、それらを使ってビジネス成果を挙げることを目標にしている」と同氏はコメントした。
近年、AIの活用が急速に進み経済がデジタル化する中、AI人材の不足が大きな世界的な社会課題となっている。日本でも2018年12月、内閣府が「人間中心のAI社会原則」の一つとして「教育、リテラシーの原則」を掲げており、産学官が一体となってAI人材の育成に取り組むことが求められている。そこでNECは、これまで自社グループで培ってきた育成方法を大学、大学院や産業界に提供することで、AIを有効かつ安全に利用する人間を中心としたAI社会の実現を目指している。
同社では「2020中期経営計画」において、AIやIoTなどのデジタル技術を活用したサービス型ビジネスを推進するため、2020年までにデジタルトランスフォーメーション(DX)専門部隊を2000人にすることを掲げている。同アカデミーの開講はその一環であり、今後はAI人材の育成を通して、デジタルトランスフォーメーションの普及に貢献していくとのことだ。
NECアカデミー for AI 全体像(出典:NEC)