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山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

男女平等の下で増加するシェアライドの女性運転手

山谷剛史

2019-03-13 07:00

 中国のシェアライド・配車サービスで代名詞といえる「滴滴(Didi)」を使っていると、女性運転手の車両に乗車することがある。シェアライドの運転手は出来高制であり、年齢や性別による違いはない。滴滴発展研究院が発表した「滴滴平台(プラットフォーム)女性新就業報告」によると、中国の滴滴で登録する女性運転手は全体の7.4%だという。

 同レポートによると、女性運転手の半数以上が月収1000元(約1万6000円以下)だが、1割の運転手が8000元以上(約12万8000円)になっている。これは9割を超える女性運転手が既婚者であり、運転手の8割弱に子どもがいて、11.3%がシングルマザーという背景が一つにある。中国では子どもの世話を家政婦に頼むことも可能だが、それは金銭に余裕がある場合だ。子どもが学校に行くようになれば、宿題の面倒なども見なければならない。子どもがいればおのずと働く時間は短くなる。74.8%の女性運転手の平均勤務時間が4時間以下となっている。同職業の男性に比べて勤務時間は短い。

 また女性運転手の10.6%が仕事を突然変えなくてはならず、運転手に転職した。ほかにも10.2%がずっと主婦だった、15%が長く仕事をしていなかったとし、社会復帰の手段としてシェアライドの運転手を選択する女性がいる。そうした中で女性運転手の86%がこの仕事に満足しているという。年齢で見ると、平均年齢は35歳。31~40歳が44.3%、21~30歳が30.6%となっている。また学歴で見ると、高卒や短大(専科大学)の割合が高く、中卒以下や大卒以上は少ない。

 乗客が評価する女性運転手の評価は男性運転手よりも高く、評価点数に反映されている。コミュニケーションがうまく、乗客の話を良く聞き、優しいと評価された結果だ。

 ここで幾つかレポートに出ていた実例を紹介する。

 上海在住の王さん(48歳)は以前、パートの仕事をしていて、月収3000元程度あったが、2014年に企業の業績悪化に伴い解雇された。2017年に娘が大学へ進学するため、シェアライドの運転手を始めた。1日の収入は500元、月に1万元以上を稼ぐようになった。とにかく乗客のニーズに応え、コミュニケーションにも十分注意を払い、常に満足度100%を実現している。

 40歳の魏さんは、夫とともにトラック運転手をやっていた。夫が重病で倒れ、病を治そうとするが、薬代で月2000元を使ってしまう。魏さんは工場のラインで働くも1日12時間働いて月3000元しか収入を得られなかった。そこでレンタカー会社から車を借り、シェアライドの運転手になり、月7000元を稼ぐようになる。

 38歳の郭さんは、幾つかの職業を転々とした後に、複数台の車両を抱える企業のトップとなり、滴滴を利用した運転手グループを結成する。現在では郭さんは1000台以上の車両と運転手を管理するまでになり、より儲かるように多くの運転手を支援する立場となっている。

 ところで、今回の調査結果で出てきた「仕事時間が男性より少ない」「20代や30代が多い」「高卒や短大卒が多い」「子どもがいる」というのは、世界共通ではないようだ。滴滴はブラジルのライドシェア「99」を買収している関係で、ブラジルのライドシェアについても簡単に紹介している。

 ブラジルでは「仕事時間が男性より多い」「30代も多いが40代以上も多い」「高卒や短大のほか大卒も多い」「子どもがいない女性運転手が多い」という違いがある。中国とブラジルの社会環境や社会背景の違いにより、同じシェアライドでも女性運転手の実態がだいぶ異なるわけだ。

山谷剛史(やまや・たけし)
フリーランスライター
2002年から中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、ASEANのITや消費トレンドをIT系メディア、経済系メディア、トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に『日本人が知らない中国ネットトレンド2014』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち』など。

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