Box Japanは3月12日、2020年度(2019年2月1日から2020年1月31日)の事業戦略説明会を開催。これまで注力してきたファイルの同期や共有といった“企業向けコンテンツ管理(Enterprise Content Management:ECM)”から“クラウドコンテンツ管理(Cloud Content Management:CCM)”市場の開拓を目標に掲げた。
代表取締役社長 古市克典氏は「CCMと“ベスト・オブ・ブリード(BoB)”をITの世界で実現する」と説明。その一環として、Boxと連携するカスタムアプリケーションの構築を可能にする「Box Platform」を4月1日から提供する。
Box PlatformはBoxとは異なる料金体系を設けており、月間APIコール数(API Calls)、月間データ転送量(Bandwidth)、月間アクティブユーザー(MAU)、ストレージ容量(Storage)の単品ライセンスと、17万5000回のAPI Calls、125GBのBandwidth、125GBのStorage、100のMAUをセットにしたBox Platform Enterprise×1を最小構成として用意。利用企業はBox Platform Enterpriseのライセンス契約後、足りない部分を単品ライセンスで補う形となる。Box Japan国内代理店が販売する。
Box Japan 代表取締役社長 古市克典氏
Box Japan 執行役員 アライアンス・事業開発部 部長 足立徹也氏
現在Boxの有償ライセンス契約企業はグローバルで9万2000社超、そのうちFortune 500に名を連ねる企業は70%を占める。今回、初めて日本国内の導入状況を明らかにして、日本企業は4200社超、そのうち日経225に並ぶ企業は44%。経済産業省と東京証券取引所がITを積極的に活用する企業を選定した「攻めのIT経営銘柄2018」の75%が利用している。
Box Japanは大学の場合、学生や教職を含めた数万人単位の契約もあるが、先の導入企業数には含めていないと説明。それでもグローバルの数値と比較すると2割程度にとどまる数値について質問が上がると、同社は「グローバルは部門単位で導入し、そこから広まるが、日本はセキュリティの観点から全社一括導入が多い。十分なアップサイドポテンシャルがある」(古市氏)と市場拡大とビジネスの拡大の可能性を示した。
Box Japanはグローバルで約1兆円規模を誇り、現在も2桁成長を続けるECM市場について、「ECMを利用している3社に1社がクラウドに移行しようとしている」(古市氏)現状を踏まえ、すでに成熟期に差し掛かったECMではなく、導入期を迎えるCCM市場を「先頭に立って創造する」(古市氏)とリーダーシップを取ることを明言する。その方向性を実現するために必要なのが、BoBを生み出すBox Platformだ。
Box Platformは個人の生産性向上やチームコラボレーションではなく、デジタルビジネスを実現する上で必要な「『コラボレーティブビジネスプロセス』『インテリジェントエンタープライズ』を目指すため、業務アプリやウェブアプリとシームレスな連携を可能にする。エンドユーザーは業務アプリの一部としてBoxの機能を業務に活用できる」(アライアンス・事業開発部 執行役員 部長 足立徹也氏)という。
具体的には、人間に紐付かないユーザーアカウントとなるService AccountまたはApp Userを使って、RestfulなAPI経由でBoxにアクセスし、Javaや.NET、Pythonなどに対応したSDKでアプリ開発が可能。プレビューなどユーザーインターフェース(UI)部分はJavaScript/CSSを組み込める「Box UI Element」を利用し、モバイルアプリ開発時は「Box Mobile UI Kit」を使用する。連携可能なサービスはグローバルで1400以上、国内140以上を数える。
Box Platformの特徴