Amazon Web Services(AWS)は米国時間3月11日、「Elasticsearch」の新しいディストリビューション「Open Distro for Elasticsearch」をオープンソースとしてリリースした。Elasticsearchは分散型全文検索エンジンで、構造化データと非構造化データのどちらにも対応しており、ウェブスケールのログ解析やリアルタイムアプリケーション監視などで幅広く利用されている。
Open Distro for Elasticsearchは、100%オープンソースで、AWSによってサポートされる「価値が付加されたElasticsearchのディストリビューション」だとAWSは説明している。もともとオープンソースプロジェクトであるElasticsearchと「Kibana」(可視化ツール)のコードを利用している。Open Distro for Elasticsearchの主な機能には、以下のようなものがある。
- セキュリティ:ノード間の暗号化、5種類の方式の認証、ロールベースのアクセス制御、監査ログ、クラスタ横断検索などをサポートする。
- イベント監視およびアラート通知:1つ以上のElasticsearchのインデックスからのデータが特定の条件に合致した場合に通知する。
- 詳細なパフォーマンス分析機能:クラスタのさまざまなパフォーマンス指標に対するクエリを実行するためのREST API。プログラムからアクセスできるほか、「perf top」などのツールによる可視化にも対応している。
- SQL対応:SQLステートメントを使用してクラスタに対するクエリを実行できるようにする。
将来はさらなる機能が追加される予定だという。AWSのクラウドアーキテクチャストラテジ担当バイスプレジデントのAdrian Cockcroft氏によると、これらの機能の多くは、同社が「Amazon Elasticsearch Service」のために開発してきたものだ。Open Distro for Elasticsearchによって、オンプレミスやノートPC、あるいはクラウドなどどこからでも、この豊富な機能を備えた同じディストリビューションを実行できるようになる。
Open Distro for Elasticsearchのライセンスには、Apache 2.0 Licenseが使用されている。AWSは、このプロジェクトはElasticsearchのフォークではなく、同社は今後もアップストリームへのコントリビューションを積極的に継続していくと述べている。公式サイトのFAQによれば、このプロジェクトは今後本家のアップデートに合わせて定期的にアップデートされる予定だという。
GitHubにはすでにOpen Distro for Elasticsearchのプロジェクトが作成されている。