米ZDNet編集長Larryの独り言

2019年の主要クラウド動向(3)--進化続けるSaaS市場とセールスフォース、オラクル、SAPなど

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-04-01 06:30

 「2019年の主要クラウド動向(1)--AWS、マイクロソフト、グーグルなど」「2019年の主要クラウド動向(2)--マルチクラウド、ハイブリッドクラウド」に続き、「2019年の主要クラウド動向(3)--SaaS市場とセールスフォース、オラクル、SAPなど」をお届けする。

進化するSaaS大手の間で繰り広げられる戦い

 SaaS市場では、ベンダーによって、またその戦略や買収計画の変化によって、クラウドの分類はより難しいものとなっている。米ZDNetがまとめた2018年版のクラウドランキングでは、主にOracleはIaaS市場で事業を展開しようとしていた点から、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platformといった企業と一緒にひとまとめにして語られていた。

 Oracleの最高技術責任者(CTO)であるLarry Ellison氏は依然としてAWSへの対抗意識を持っているようだが、Oracleは本質的にはSaaSとDBaaSの企業だ。クラウドを自動化し、次世代のインフラを作り上げるという同社の取り組みは、おそらく成果を生むだろう。しかし今のところ、同社の軸足はソフトウェアに置かれているようだ。SalesforceはMuleSoftの買収を通じて、その品ぞろえを少し変え、クラウド戦略に(そして若干ながら従来のソフトウェアライセンス形態にも)統合という要素を加えた。また、SAPは大手クラウド企業へと成長し、Workdayは自らのエコシステムを拡充するための道を開いた。

 SaaS企業すべてを網羅するのは、全体像を解説するという本記事の主旨ではないが、SaaS+とも呼ぶべきベンダーのグループも存在している。こういったクラウドサービスプロバイダーはプラットフォームを拡張し、顧客業務を推進できる複数のSaaS製品を用意している。

Oracle

  • クラウドサービスおよびライセンスサポート関連の年間売上高ランレート:264億ドル
  • 統合基幹業務システム(ERP)とヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)の年間売上高:26億ドル

 Gartnerが発表した2018年版のIaaSの「マジック・クアドラント」では、対象がクラウド企業のみに絞り込まれていた。Oracleはクラウド企業に分類されていたが、2019年にはインフラ分野の企業という分類から外されたとしても驚きはないだろう。

 現実に目を向けよう。OracleはSaaSプロバイダーであり、実際OracleはSaaS市場で有利な戦いを展開し、「NetSuite」を通じて中小企業から、そしてオンプレミスソフトウェアをクラウドに移行しようとしている大企業に至るまでのさまざまな規模の企業に対応している。

 しかし、他社にない真の強みはデータベースだ。同社は膨大なインストールベースを誇るとともに、単調な作業を取り去り、同社のテクノロジを他社のクラウドにももたらす能力を秘めた自律型データベースを有している。Oracleは自らをクラウド2.0企業と称しているのだ。

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