日立製作所は3月18日、IoT基盤「Lumada」の導入を容易にするパッケージカタログ「Lumada Solution Hub」を発表。4月1日に販売を開始する。まずは30個のパッケージを提供し、順次拡充していく予定。
Lumadaは2016年5月に提供を始めてから、産業・流通・電力・ヘルスケアなど幅広い分野で600件超のユースケースを開発してきた。Lumada Solution Hubは、そうしたユースケースをまとめたソリューションやアプリケーション開発環境を導入しやすい形にパッケージ化してカタログに登録し、IaaS上で提供するものだ。
コンテナ型仮想化「Docker」やコンテナ管理ツール「Kubernetes」などを活用することで、日立のIaaSのほか、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureにも配置できる。Docker/Kubernetesの環境であれば“理論上は”稼働するため、Google Cloud Platform(GCP)などの対応も視野に入れているという。

Lumada Solution Hubの活用イメージ
第一弾として、プライベートクラウド環境を提供する日立の「出前クラウド」版を販売開始し、2019年7~9月にAWS、Azure、「日立エンタープライズクラウドサービス」のIaaSなどへ順次対応する。
サービス&プラットフォームビジネスユニット サービスプラットフォーム事業本部 事業本部長の熊崎裕之氏によると、これまでデジタル変革(DX)の取り組みは、数多くの試行錯誤が必要となり、方法を変えて何度も試行を繰り返しているうちに、何の成果も得られないまま概念実証(PoC)が終わってしまうという課題があったという。また、PoCが成功したとしても、社内のデータを外に持ち出せないという問題や、パブリッククラウドのデータを外に持ち出すにはコストがかかるといった障壁があった。
Lumada Solution Hubでは、そうした試行錯誤を減らし、Lumadaソリューションの早期検証から本番環境へのスムーズな移行、複数拠点への効果的な展開などを支援する。顧客がデータを保管する任意のIaaS環境にデプロイすることで、データの移動コストをかけずに済む。
配備したソリューションの運用監視サービスも2019年度下期にリリース予定。AWS、Azure、VMwareなどのコンソールを個別に操作する必要はなく、本番環境におけるアプリケーションの負荷に応じて、自動でシステムの処理能力を高めるオートスケーリング機能や、セキュリティのアップデートを自動的に適用する機能など、保守・運用の省力化を支援する機能を搭載する。
また、アプリケーション開発環境を構築するための「IoT向けDevOps環境提供サービス」も4月1日に販売を始める。
今後は、Lumada Solution Hubのカタログへのソリューション登録を進め、AI(人工知能)やIoTを活用して実効性の高い配送計画を立案するサービスやブロックチェーン導入支援のサービスなどの業務ソリューションを2019年度上期に順次提供していく。

日立が考えるLumadaのエコシステム