編集部からのお知らせ
ZDNet Japanが新しくなりました!
New! 懸念高まる産業機器のセキュリティ
Gartner Summit

データベースの仮想化でテスト工数を削減--マツダの開発手法

日川佳三

2019-03-27 06:00

 ガートナー ジャパンは、3月12~13日に「エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2019」を都内で開催した。12日のソリューション・プロバイダー・セッションでは、マツダ ITソリューション本部 サプライチェーンシステム部 主幹エンジニアの品川誠一氏が、データベースの仮想化によってテスト工数を削減した事例を紹介した。

マツダ ITソリューション本部 サプライチェーンシステム部 主幹エンジニアの品川誠一氏
マツダ ITソリューション本部 サプライチェーンシステム部 主幹エンジニアの品川誠一氏

 マツダは、世界中に生産拠点がある自動車会社だ。生産拠点と販売拠点を海外に置くため、巨大なITシステムを運営している。自動車からIoTセンサデータを収集して活用するといった“攻め”のシステムと、自動車のサプライチェーンを支える“守り”のシステムの両軸に注力している。

 現在、自動車の生産を支えるコア業務はメインフレームで稼働している。COBOL開発者が減っていることが課題の1つだ。その他のシステムについても、ASP.NETなどを用いた旧式のウェブシステムが大量に存在しており、これらのシステムを作り変えなければならない。

 「課題は大きい」と品川氏は言う。2025年までに数百ものシステムを作り変えなければならないが、それには膨大な費用が必要になる。しかし、現状維持のために多額の投資したら、“攻め”のシステムに使うお金が減ってしまう。さらには、本社のある広島県では開発人材も不足している。

部品の再利用と超高速開発で開発工程を効率化

 こうした状況を受けてマツダは、3年前からシステム開発の生産性を高める取り組みを実践している。個々の業務システムごとに全てをイチから開発するのではなく、複数の業務システムに共通する機能をフレームワーク化している。開発の柱は(1)カタログ選択型の開発、(2)超高速開発――の2つだ。

 (1)のカタログ選択型の開発とは、イチから機能を開発・実装するのではなく、開発済みの機能コンポーネントをカタログから選んで利用する開発スタイルだ。ユースケース(業務要件)ごとに機能を用意しており、現在約600個の“部品”がある。そのままでは使えなくても、少しの改変で済み、それでも足りない機能は開発する。

 「最初はうまくいかないと思っていたが、全体の8割の処理は、過去に作った部品や機能の一部を変えるだけで実現できることが分かった」と品川氏は指摘する。設計書を作成する手間も75~80%省力化できた。

 (2)の超高速開発は、ソースコードを書くことなく、グラフィカルユーザーインターフェースの操作だけでビジュアル開発するスタイルのことだ。マツダでも新しい開発方式として取り組んでいる。

仮想データベース製品を採用してテスト工程を省力化

 マツダは、カタログ選択型の開発と超高速開発によって、開発工程の効率を高めることに成功した。その一方、テスト工程の工数が減らないという問題を抱えていた。テストと品質はトレードオフの関係にあり、ただ減らせばいいというものではない。

 「テスト工程で最も負担になっていた処理を分析してみたところ、テストデータを用意して整備する作業に多くの工数をかけていたことが分かった」(品川氏)。これを解決し、テスト環境を素早く構築できるように、アシストから提案を受けて米DelphixのDelphixを採用した。

 Delphixは、本番のデータベースを複製して開発環境向けのデータベースを簡単に作成できる仮想データベース製品だ。データベースの特定のタイミングの「断面」を複製してストレージ上に仮想データベースとして作成できる。手作業でテスト用のデータベースを作成する必要がなくなる。

 ブックマーク(今この瞬間の断面)を、数クリックで作れる。容量10GBのデータベースを4~5秒で作成できる。データの派生ブランチも管理できる。「作成済みの任意の断面に即座に戻せるので、テストの効率が上がる。バグが出た瞬間の断面を取得しておけばバグを再現できる」(品川氏)

 マツダは従来、個々の開発者に対して、それぞれ専用のデータベースを複製して配付していた。開発者は、自分のPC上にテスト用のローカルデータベースを作成し、これを使ってテストを実施していた。

 Delphix導入後は、Delphix上に開発者の人数分の仮想データベースを作成するようにした。開発者100人分の仮想データベースを作成しても、差分だけを保存する仕組みによって、ストレージ使用量は元のデータベースの2倍程度で済む。自動車の国内流通システムの構築プロジェクトでは、開発者40人に対して、テスト開始後2週間で150個の断面を作成した。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

Special PR

特集

CIO

セキュリティ

スペシャル

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]