IBMは米国時間3月18日、ブロックチェーンベースの世界的な電子決済ネットワーク「IBM Blockchain World Wire」の限定的な本番運用を開始したと発表した。同社は、国境をまたがるクリアリング(清算)とセトルメント(決済)をほぼリアルタイムで完了できる「新たな金融レール」としてこの決済ネットワークをアピールしている。

提供:IBM
同社によると、World Wireは支払い時のメッセージ交換やクリアリング、セトルメントを単一のネットワーク上で統合した、ブロックチェーンをベースにした世界初のネットワークだという。
同社は「貨幣という概念は2000年前からある。そして世界は、金融取引を処理するために、50年間にわたって同じネットワークを使用してきている。グローバリゼーションによって世界に変革が訪れたにもかかわらず、決済手数料をはじめとする金融障壁は依然として変わっていない。しかし今回、資金移動のための新たな手段が登場した」と述べている。
IBMのブロックチェーン担当ゼネラルマネージャーであるMarie Wieck氏は「われれわれは、送金処理にかかる時間の短縮や、国境をまたがる決済の変革を目的とする新たなかたちの決済ネットワークを作り上げ、資金移動を必要としている国々が利用できるようにした」と述べている。
「金融機関が複数のデジタル資産をサポートできるようなネットワークを構築することで、われわれはイノベーションを加速し、世界全体の金融取引を活性化していきたいと考えている」(Wieck氏)
World Wireは「Stellar」プロトコルを採用し、デジタル通貨のかたちで資金の送金を実現する。Stellarプロトコルは、デジタル通貨の送金を可能にするために開発された分散型のオープンソースプロトコルだ。
ブロックチェーンをベースにしたこのネットワークは、Stellar Lumens(XLM)による決済をサポートするとともに、IBMの以前からのパートナーであるStrongholdを通じた、米ドルを担保にしたステーブルコインをサポートする。
IBMによると、現在は規制当局の承認とその他機関の審査を待っている状態であり、Banco BradescoやBank Busan、Rizal Commercial Banking Corporation(RCBC)を含む国際銀行6行がWorld Wire上で独自のステーブルコインを発行する意向を示す書簡に署名していて、この決済ネットワークが軌道に乗った際には、ユーロや、韓国のウォン、ブラジルのレアル、インドネシアのルピア、フィリピンのペソを担保にしたステーブルコインが同ネットワークに追加されることになるという。
IBMによると、World Wireは44カ所のバンキングエンドポイントを含む、72カ国で47種類の通貨での支払いを可能にしているという。
同社は「現地の規制に従った展開を続けていく。そしてIBMは積極的に世界各地の金融機関を追加し、ネットワークを成長させていく」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。