ブロックチェーンで異業種の情報を連携--日立らが共同検証を実施

大場みのり (編集部)

2019-03-20 10:03

 積水ハウス、KDDI、日立製作所の3社は3月19日、ブロックチェーン技術を用いた異業種間情報連携の共同検証を実施すると発表した。企業の独自情報を安全性の高い環境で共有し、異業種データを掛け合わせて新たなサービスを生み出す「企業間情報連携基盤」の実現を目的とする。第一弾として、不動産賃貸物件の内覧から入居までに生じる、入居者の手続きを簡略化する検証を4月から行う。

共同検証における各社の役割(出典:日立)
共同検証における各社の役割(出典:日立)

 生活に関わるさまざまな手続きで、身元確認を目的とした本人確認が必要だ。中でも引っ越しの場合、顧客は賃貸物件の内覧や契約手続き、電気・ガス・水道の契約、住所変更の手続きなど、サービスを提供する企業それぞれに本人確認書類の提出や書類の記入を行う必要がある。

 これまで、積水ハウスはブロックチェーン技術を用いた不動産情報管理システムの構築、KDDIと日立はブロックチェーン技術と生体ID認証を生かした連携を実証してきた。今回の共同検証では、ブロックチェーン技術「Quorum」や日立のIoT基盤「Lumada」を活用して企業間の中立的な情報連携基盤を構築し、積水ハウスとKDDIそれぞれの本人確認情報を安全に連携させると3社は説明する。

 本人確認情報を相互補完することで、賃貸物件の内覧申し込みの際、顧客よる現住所や電話番号の入力を簡略化できるという。また、顧客の一人ひとりに合ったサービスの一元提供を検討するなど、ビジネスモデルやサービスの向上についても検証する。

 異業種間の情報共有に関して3社は、参加企業は対等な立場のもと、情報を分散して管理すべきだという。またブロックチェーン技術は、その改ざんの難しさや持続性の高さなどから、複数の企業での情報を安全な共有に適しているとしている。

 一方、個人情報の管理において、顧客自身による管理を可能にすべきだという考え方が近年広まっているとし、顧客に許諾された企業のみが個人情報を取り扱うべきだと説明する。

 積水ハウス、KDDI、日立の3社は今後、金融分野や自治体分野など、参加企業、団体を広く募って共同体を形成し、顧客と企業の双方に有益なシステムの構築を目指す。

コンソーシアム形成による企業間情報連携基盤のイメージ(出典:日立)
コンソーシアム形成による企業間情報連携基盤のイメージ(出典:日立)

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