海外コメンタリー

IIoT導入にかかる費用を見極め、管理するには--考慮すべき7項目

Mary Shacklett (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-04-09 06:30

 衛星通信サービス企業Inmarsatが2018年に実施した調査では、回答企業の4分の1が、向こう3年間のIT予算の10%以上を産業用IoT(IIoT)に投じる予定だと述べている。またその多くは、投資から十分な利益が得られることを期待している。しかし同じ調査の中で、すでにIIoTを導入済みの企業で、導入にかかった費用は予想よりも多かったとしている回答者も多い。調査は、農業やエネルギー、海運、鉱業、運輸などをはじめとする分野におけるIIoTの導入に関するもので、IIoTの取り組みについて意思決定、あるいは影響力の行使に責任を持つ回答者にインタビューを行っている。

 多くの企業ではIIoT導入費用の管理が懸念されているが、これは、導入費用に関する経験的な知識が不足しているためだ。このため企業は、IIoTを業務管理や資産の追跡などの用途に導入する前に、試験的な導入を行ったりしている。ただし、IIoTを導入済みの企業も、初期投資の回収に要する時間を示すことのできるようなデータを集め始めたばかりだ。

 IIoTの費用や予算に関する時系列的な情報は限られているため、費用をうまく管理するには、まずIIoTの導入が費用に大きな影響を与える可能性が高い分野を特定することから取りかかるべきだろう。この記事では、IIoTの導入によって経費が上昇する可能性のある7つの分野を紹介する。

1.ネットワークの接続性の拡張

 IIoTを導入すると、企業のネットワークはスマートフォンからRFIDリーダー、センサ、産業用機器、ロボットに至るまで、現在よりも多様なデバイスを多数支えなければならなくなる。この問題は一見、増えるサーバやルータ、ストレージ、イーサネット、Wi-Fiなどの量に、増えるデバイスの数を掛けて、ネットワークの容量をその3倍に拡大すればいい、といった単純な問題に見えるかもしれない。しかし実際には、問題はそれほど簡単でも、単純でもない。

 これは、IIoTによって導入される可能性のあるさまざまな通信プロトコルを支えるために、ネットワークの柔軟性を高める必要があるためだ。多くのIIoTデバイスが独自のOS、プロトコル、インターフェースを使用しているため、Bluetooth、Wave、Wi-Fi、イーサネットなどのプロトコルの以外に、おそらくIT部門があまり経験したことのないプロトコルにも対応する必要が出てくるだろう。

 つまり、ネットワークのアーキテクチャを変える必要があり、そのためにはハードウェア、ソフトウェア、サービスに対して想定外の新たな投資がまず必要になる可能性が高いということだ。

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