産業用3Dプリンタを手がけるMarkforgedは米国時間3月20日、シリーズD投資ラウンドで8200万ドル(約90億円)を調達したと発表した。この資金調達は、新たな産業革命の原動力となる、付加製造(AM)による大量生産に向けた号砲となるはずだ。
8200万ドルという資金調達額は、3Dプリンタ企業にとって大きなものであり、AMに向けた大きな流れの変化を示している。AMによって、プロトタイピングの適用範囲が拡大するとともに、製造工程の短縮が可能になり、より優れた製品を大量に生産できるようになるはずだ。
Markforgedの最高経営責任者(CEO)であり、共同創業者でもあるGreg Mark氏は「Markforgedは、エンジニアや発明家、メーカーが、従来手法に比べて大幅に短い時間と低いコストで産業グレードの部品をプリントできるようにすることで、人類のイノベーションのペースを変えようとしている」と述べるとともに、「手が届きやすく、信頼性に優れた3Dプリンティングによって新たな産業革命に向けた歩みの加速に貢献しようとするなか、Summit Partnersに加わってもらえ、期待に胸を膨らませている」と述べた。
これは大きな野心だが、それほど無茶なものではないかもしれない。12兆ドル規模の製造分野は、自律型の移動ロボットや共働ロボットなどの柔軟な自動化テクノロジのおかげで、変革のまっただ中にある。AMは、クラウドベースのソフトウェアや、より高い精度、新たな素材、生産量の増加によって大きく飛躍しており、21世紀の製造分野を変革するための、今までにはなかった要素となる可能性もある。
部品の大規模な製造工程がCADファイルとノートPCで立ち上げられると考えてほしい。工作機械やラインの用意は必要ない。これまでの3Dプリンタは、大量生産で幅広く採用するにはあまりにも速度が遅かったり、あまりにも精度が低かったり、あまりにもコストがかさむ(しばしばこれら3つが同時に当てはまる)ものだった。その結果、短期的な製造や、ハイエンドの製造にしか用いられていなかった。