IDC Japanは3月27日、国内のパブリッククラウドサービス市場予測を発表した。対象は「SaaS」「PaaS」「IaaS」で、導入や運用、サポートなどの関連ITサービスや基盤上で動くアプリケーションなどのソフトウェアそのものは対象外。
クラウドファースト戦略を実行する企業が増加し、パブリッククラウドを利用するシステム領域が情報系から基幹系へと多様化、拡大。2018年は従来型ITからクラウドへの移行が堅調に進捗し、市場規模は前年比27.2%増の6688億円。高い成長を遂げたとしている。
2018~2023年の年間平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)は20.4%で、2023年の市場規模は2018年比2.5倍の1兆6940億円になるという。ユーザー企業における従来型ITからパブリッククラウドへの移行は継続し、加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)や新技術を活用して「生産性の向上」「業務の効率化」を目指す企業も増加。市場の高い成長は継続するとしている。
国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2018~2023年(出典:IDC Japan)
2017年から2018年は、変化に慎重で、新しいことへの挑戦よりも安定性や信頼性を重要視する一般的企業が、IT戦略をクラウドファーストへと変革する傾向が見られたという。
一方、慎重な姿勢から、安定性や信頼性、実績、管理性、コストの最適化などを重要視するものの、先駆的企業と比較すると「技術」「ITスキルの習得」に対する投資が限定的となりやすいとしている。
ベンダーが競争優位性を示すためには、これまで以上にクラウドの導入や運用支援を強化する必要があるという。特にIaaSやPssSといったパブリッククラウド、ハイブリッドやマルチクラウドといった環境では、従来型ITと比較して求められるITスキルが大きく変化。導入や運用サービスの強化、拡充は欠かせない要素となるとしている。
従来型ITからクラウドへの移行だけではなく、DXを推進するクラウドネイティブアーキテクチャへの移行支援も重要になるという。IDC JapanでITサービス リサーチディレクターを務める松本聡氏は「国内パブリッククラウドサービス市場では、システム領域の多様化、拡大、さらにはユーザー企業層の変化が顕著に見られる。ベンダーが競争優位性を示すため、ユーザー企業のクラウドジャーニーを包括的に支援するエコシステムの拡充が必須」とコメントしている。