NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は人工知能(AI)が自動で文字起こしや翻訳などを担う議事メモ作成サポートサービス「COTOHA Meeting Assist」を4月1日から提供する。初期費用は無料だが、税別月額利用料は3万5000円~。APIの利用は従量課金制として利用量に応じて加算される。初年度中300社導入を目標に掲げる。
3月29日に開かれたNTTグループのAI関連技術「corevo(コレボ)」を活用した日本語解析AI「COTOHA(コトハ)」の戦略発表会で発表した。COTOHA Meeting Assistが利用するサーバのCPUやメモリ、ストレージをオプションで増強可能。アプリケーション&コンテンツサービス部 AI推進室 室長 三竹保宏氏は「各サービスシーンにAIを組み込み、データの収集、利活用を促進する『AI Everywhere』を推進する」と自社戦略をつまびらかにした。
NTT Comは、NTTグループが備えるサービスイノベーション総合研究所、情報ネットワーク総合研究所、先端技術総合研究所によって40年以上研究されてきた成果を活用したビジネスソリューションを数多く提供している。
NTTコミュニケーションズ アプリケーション&コンテンツサービス部 AI推進室 室長 三竹保宏氏
2016年10月には日本語で対話可能なAIエンジン「COTOHA Virtual Assistant」、2017年1月には、ウェブサイトに設置して顧客やオペレーターの自己解決を図るための「COTOHA Chat&FAQ」、2018年1月には高精度翻訳システム「COTOHA Translator」、2018年9月には日本語辞書・自然言語処理研究結果を用いたAPIプラットフォーム「COTOHA API」といった多様な技術をビジネス市場に提供してきた。
東京都福祉保健局では、都民が24時間相談可能な「受動喫煙防止条例問い合わせ窓口」をCOTOHA Chat&FAQで実現。「応答範囲を絞りこめば高度な応答が可能。また、人間と違って回答にゆらぎがなく、均一かつ正確に回答できる」(三竹氏)
神戸製鉄所はグローバルな社員間の意思疎通をCOTOHA Translatorで実現。「7時間かかっていた英文書類翻訳業務を2分に短縮。企業データのセキュリティを担保したい企業に支持されている」(三竹氏)という。
日本テレビ放送網はCOTOHA APIの固有表現抽出機能などを用いて、アンドロイドアナウンサー「アオイエリカ」をメディアに活用。NTT Comの映像会議サービス「Arcstar TV Conferencing」もCOTOHA APIの音声認識や自動翻訳機能を用いている。
広まりを見せるCOTOHAシリーズだが、その第5弾となるのが今回のCOTOHA Meeting Assistである。NTT Comのクラウド上に契約企業のテナントを作成し、仮想会議室や議事メモ管理、タスク管理、自動応答などの機能を備えつつ、会議中は日本語や英語を含む9カ国語によるテキスト化や自動翻訳が可能。ユーザーは契約企業が作成したアカウントを用いてウェブブラウザからサインインする。
関係者は「記録者は自身も会議に参加し、振り返りや情報のまとめ作業時間を短縮できる。また、意思決定者も情報スピードが速まり、明確な判断が下しやすくなる」と今回のサービスの特徴を説明する。とある海外営業担当チームのメンバー同士(日本語を用いる社員と英語を用いる社員を想定)の会話シナリオに沿ったデモンストレーションでは、大半のテキスト化や日本語翻訳に成功した。