2019年も、人工知能(AI)と機械学習(ML)に対する関心が衰える様子はない。しかしIT部門のリーダーは、AI/MLプロジェクトの管理とサポートについて、若干の不安を抱えていることを認めている。米ZDNetの姉妹サイトであるTech Pro Researchが、企業のAI/MLプロジェクトの管理状況について調査したところ、以下のような内容が明らかになった。
回答者は全般的に、AI/MLプロジェクトがこれまでのITプロジェクトの比べて、困難になるだろうと回答した。AI/MLシステムの導入とサポートを行う、スタッフの準備が不十分であることに懸念を示した。具体的には、38%がAI/ML環境向けにアプリケーションを開発して、サポートできる技術担当者が社内に不十分であると回答し、22%がビジネスアナリストはシステム要件を規定したり、エンドユーザーと連携したりする経験をもっと積んだほうがよいと答えた。また14%が、既存のインフラにAI/MLアプリケーションを統合するための経験が、システムプログラマーとシステムアーキテクトに不足していることに不安を感じていた。さらに、エンドユーザー研修とビジネスプロセスの変更に不安を感じている回答者が13%で、自社のITスタッフはAI/MLプロジェクトを十分に管理できるという回答者はわずか8%だった。
AI/MLプロジェクトに関する懸念は、スタッフの準備態勢以外にもあり、回答者の53%は、AI/MLのビジネス価値に確信が持てずにいる。47%は、AI/MLプロジェクトの導入とサポートを行うスキルがITスタッフに不足していることに懸念を示した。さらに33%は、社内上層部がAI/MLプロジェクトへのコミットを持続しない可能性に不安を感じていた。その他の懸念事項として、時間と費用の超過、ベンダーによる不十分なサポートが挙げられた。AIとMLは新興技術のため、こうした回答が寄せられたのも無理はない。
興味深いことに、6%の回答者はAI/MLプロジェクトがこれまでのプロジェクトと比べて容易になると答え、プロジェクトの実行とサポートに何らためらいを示さなかった。
AI/MLプロジェクトは、ITリーダーシップが後押ししていることが分かった。プロジェクト要請の発生元は、最高経営責任者(CEO)もしくはその他のCレベル幹部が33%、IT幹部が25%、エンドビジネスの幹部が24%だった。
AI/MLプロジェクトで予測される困難な状況に対処すべく、小規模な試験プロジェクトや概念実証(PoC)を、全面的な導入に先立ち実施するという回答者が半数以上にのぼった。組織はこのアプローチにより、ソリューションを本稼働させる前に試し、最終的に投資を守ることができる。組織がAI/MLの取り組みに対する不安を軽減できれば、新たなプロジェクトを推進する可能性も高まるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。