アクセンチュアは4月1日、アクセンチュア ・ストラテジーが作成したレポート「Decoding Organizational DNA(組織のDNAの解析)」の分析結果を発表した。これによると、従業員の働き方に関するデータを活用し、従業員の信頼を得られれば、全世界の大企業において3兆1000億ドルもの収益増が期待できることが判明したという。
レポートでは、調査に協力した1400人の経営幹部の62%が、「業務の質や社内コミュニケーション、従業員の満足度の向上を目的に、従業員およびその働き方に関するデータの収集に新しいテクノロジを活用している」と回答している。しかし、「そのデータを適切な方法で活用している自信がある」と回答した経営幹部は全体の30%にとどまっている。
調査は、13カ国(日本、オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、オランダ、スペイン、スイス、英国、米国)の13業界(自動車、銀行、通信&メディア、消費財&サービス、エネルギー、ヘルスケアサービス、ハイテク、保険、公共サービス、小売り、ソフトウェア&プラットフォーム、旅行、ユーティリティ)にわたる1万人の従業員と1400人の経営幹部を対象に、2018年10~11月に行われた。
アクセンチュアでは、調査分析の結果、従業員の働き方に関して適切なデータ活用戦略を導入している企業は、そうでない企業と比べ、最大12.5%高い収益が見込まれるとしている。
回答した1400人の経営幹部のうち31%が、「従業員からの反発を懸念し、データ収集テクノロジへの投資をできるだけ控えている」と答えているが、一方で32%の経営幹部は、「既にデータ収集に向けて投資しており、問題が生じた際には責任を持って対処する」と回答している。
また調査に回答した1万人の従業員のうち52%は、「自分の働き方に関するデータが新たに収集されることは、所属している組織に対する信頼低下につながる恐れがある」と回答し、64%が「近年のデータ乱用に関する不祥事を踏まえ、自分のデータもリスクにさらされているのではないか」と懸念を示している。
しかし回答した従業員の92%は、自分の働き方に関するデータを活用することで、生産性や満足度が向上するなど、個人的なメリットにつながる場合に限り、自分や自分の働き方に関するデータの収集を許容しており、62%は「自分の報酬、手当」、また61%は「学習や成長機会」におけるメリットと引き換えに、自分の働き方関連のデータを提供してもよいと回答している。