海外コメンタリー

企業におけるAI導入、真のコストとROIを把握するには - (page 3)

Mary Shacklett (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-04-18 06:30

 なぜこの点が重要なのだろうか?

 企業幹部は、AIやMLを推進する人たちによって、自社の最終的な収益としてのROIが提示されると期待している。これはつまり、業務のワークフロー、それも一部ではなく全体が目に見えるかたちで最終的な価値に結びついていなければならないということを意味している。

 例を挙げると、組み立てライン上の梱包を自動化し、時間と無駄を削減できたとしても、エンドツーエンドの他の工程に効果を及ぼさないばかりか、そのワークフローにブレーキをかけ続けるというのであれば、AI/MLを導入した際のROIの位置付けはおろか、ROIの意味すら失われるのだ。

ここでのまとめ

 エンドツーエンドの業務プロセスにおける一部の工程でAI/MLの試行を実施している場合、使用しているAI/MLが他の工程にも価値をもたらし、ボトルネックを発生させずに業務プロセス全体にプラスのインパクトを与えられるようにしなければならない。その取り組みの一環として、最初に単一の業務プロセスに対するROIの向上をまとめる場合には、単一の業務プロセスに絞り込んだROIを導き出すことで、企業の期待を適切なものにしなければならない。

真のROIに対するコストを理解(そして考慮)する

 ROIの最も簡単な算出式は、現行のプロセスと、AIそして/またはMLを使用した改訂版プロセスを比較するものとなる。このため、医療診断の目的でAI/MLを使用するという場合、患者の容態を迅速に診断し、専門医がそれを精査、評価できるようにするために、数千ページ規模の医療データを秒単位で処理できるコンピュート能力と予測アルゴリズムを用意することになる。この場合、診断時間の速さと、人的工数の減少度合い、診断精度の向上度合いが望ましい結果としての測定対象になる。これらの業務指標を定量化できれば、AI/MLによって診断時間が短縮され、医師の工数が削減され、願わくば誤りの入る余地が減ることを評価でき、容易にROIを手に入れられるはずだ。

 残念なことに、こういった原始的なROIでは新たなソリューションを支えるためのより多くのコンピュート能力やストレージ能力といったものを調達するコストが考慮されていない。また、業務プロセスの再構成にかかる期間や、周辺システムの修正、新たなAIプラットフォームとさまざまなシステムとの統合、IT部門およびエンドユーザーの訓練、消費電力とデータセンターのコスト、初期実装のコスト、ライセンスのコストといったものも含まれていない。長期的に見てもプラスのROIを達成できることを確実にするうえで、こういった初期コストと運用まわりのコストもROIの算出式に盛り込んでおく必要がある。

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