長野市は、中条地区に開設したジビエ肉処理加工施設「長野市ジビエ加工センター」で安全なジビエの供給を支える商品管理システムを構築し、4月1日の施設開設に合わせて稼働を開始した。同システムの構築を手掛けた富士通が発表した。
ジビエは、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉。農林水産省が野生鳥獣のジビエ利用拡大に向けて全国17地区をジビエ利用モデル地区に選定している。また、野生鳥獣の食利用における衛生管理の徹底のため「国産ジビエ認証制度」を制定し、厚生労働省のガイドラインや、カットチャートによる流通規格の遵守、適切なラベル表示による追跡に取り組む処理加工施設を認証している。
長野市は、野生鳥獣による農作物被害対策の一環で、捕獲したイノシシとニホンジカを新たな地域資源として活用する取り組みを推進しており、ジビエ利用モデル地区にも選定されている。富士通によると、これまで民間の専門施設でジビエの加工を行っていたが、ジビエは野生鳥獣の狩猟を主軸とする分、安定的な供給や高品質化、消費者からの安全に対する要求への対応などに課題があったという。そこで長野市が、市内全域のジビエを一括で運用、管理するジビエ肉処理加工施設として「長野市ジビエ加工センター」を開設したと説明する。
この施設では、ジビエの処理に関わる安全基準を満たす衛生管理の仕組みと設備のもと、ジビエ商品管理システムにより持ち込まれたジビエを受入から加工、販売までを一気通貫で個体管理し、精度の高い追跡を実現すると富士通は語る。また、商品ラベルのQRコードを通して、消費者にジビエの詳細情報を公開することで、ジビエの安全提供を強化するという。
富士通は、畜産農家向けサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution 食・農クラウド Akisai肉牛生産管理SaaS」で培ったノウハウをもとに、捕獲状態などに応じた管理など、ジビエ特有の個体管理機能を長野市のシステムに提供する。さらに、6次産業化に取り組む生産法人向けサービス「Akisai 農産加工販売SaaS」で得た知見を活用し、加工から販売過程のシステムを構築することで、ジビエの受け入れから加工、販売までを一元管理するシステムを実現した。
同システムでは、狩猟を行う猟友会員により施設に持ち込まれたジビエに対し「国産ジビエ認証制度」「信州産シカ肉認証制度」に準拠した個体番号を発番、管理するとともに、ジビエの処理加工、在庫、販売を一元管理することで、確実な追跡を実現するという。また、同システムで管理するジビエの追跡情報を消費者が容易に確認できるよう、商品に張り付けるラベルにQRコードを記載する。これにより、安全なジビエ供給が可能になるとしている。
ジビエ商品管理システムによる管理のイメージ(出典:富士通)