Oracleの傘下でクラウドERPを提供するNetSuiteは4月1~4日にかけて、年次カンファレンス「SuiteWorld 2019」を米国ラスベガスで開催した。NetSuiteでExecutive Vice Presidentを務めるEvan Goldberg氏が日本の記者らとのグループインタビューに応じた。
NetSuite Executive Vice PresidentのEvan Goldberg氏
「Grow Beyond」に込められた意味
顧客の声を聞くことで、持続的な成長を目指す上での障壁など、多くの課題を抱えていることが分かった。企業として成長が難しくなる時期があっても、それを乗り越えていくことで会社の可能性を引き上げていき、ビジョンを実現するための道のりを進めようという意味合いが今回のイベントテーマである「Grow Beyond」には込められている。
NetSuite自身に関して言えば、Oracleの一員になる前にやってきたことを超えていこうという意味だ。例えば、新たな国や地域に対する投資がある。以前は、思うように投資ができないことが成長の障壁になっていた。今では、日本向けに製品やサービスを作り込んだり、日本市場につながるような機能を開発したりできるようになった。
日本にはたくさんの業種があるが、国境の壁を越えた会社というのは、国内の同業種よりも似ている側面がある。アパレル、小売、流通、メーカー、ソフトウェア、インターネットなどにおいても、世界的に見ると異業種の中でも似た点が多くあるという。
日本への投資について
まずは、税金・税法に対応していかなければならない。日本においても税制や税率が変わってきており、常に現行の税法に準拠できるように大きな投資が必要になっている。顧客が干渉しなくていいように、継続的に提供できるサービスとして、規制対応が必要になった際には即座に対処できるようにしたい。
言語の違いについても考慮している。製品やサービスだけでなく、マニュアルやヘルプなどの周辺領域についても適切に翻訳されるように注力してきた。機械翻訳では不十分な部分にも優れた訳文を用意することで、新しい機能などを理解してもらえるように支援していく。
人材への投資も進めている。ローカルの文化を知っているだけでなく、業種や業界のことを熟知していることが重要だ。NetSuiteを成功させるために、日本の市場を理解している広範な能力を持ったチームを構築していきたい。
Oracleとの連携について
Oracleのクラウド基盤「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を使って、NetSuiteを提供できるようになったことが最大のメリットだ。各国のデータセンターを活用して、新規市場へ迅速に参入できるようになった。
OCIの東京リージョン(5月を予定)が提供開始されれば、NetSuiteも東京にデータセンターを持つことができる。かなり早い段階で対応する予定だ。データを国内のサーバに保管できれば、企業における導入のハードルを下げられるだろう。
また、データセンターまでの距離を短くすることで、アプリケーションのパフォ―マンス向上につながるというメリットもある。さらに、「Oracle Autonomous Database」の自律化機能を使えば、利用企業の環境に特化したデータベース環境を自動運用することも可能になる。
(取材協力:日本オラクル)