オラクル連携で国内DCのサービス展開に意欲--ネットスイートのゴールドバーグ氏

藤本和彦 (編集部)

2019-04-09 07:00

 Oracleの傘下でクラウドERPを提供するNetSuiteは4月1~4日にかけて、年次カンファレンス「SuiteWorld 2019」を米国ラスベガスで開催した。NetSuiteでExecutive Vice Presidentを務めるEvan Goldberg氏が日本の記者らとのグループインタビューに応じた。

NetSuite Executive Vice PresidentのEvan Goldberg氏
NetSuite Executive Vice PresidentのEvan Goldberg氏

「Grow Beyond」に込められた意味

 顧客の声を聞くことで、持続的な成長を目指す上での障壁など、多くの課題を抱えていることが分かった。企業として成長が難しくなる時期があっても、それを乗り越えていくことで会社の可能性を引き上げていき、ビジョンを実現するための道のりを進めようという意味合いが今回のイベントテーマである「Grow Beyond」には込められている。

 NetSuite自身に関して言えば、Oracleの一員になる前にやってきたことを超えていこうという意味だ。例えば、新たな国や地域に対する投資がある。以前は、思うように投資ができないことが成長の障壁になっていた。今では、日本向けに製品やサービスを作り込んだり、日本市場につながるような機能を開発したりできるようになった。

 日本にはたくさんの業種があるが、国境の壁を越えた会社というのは、国内の同業種よりも似ている側面がある。アパレル、小売、流通、メーカー、ソフトウェア、インターネットなどにおいても、世界的に見ると異業種の中でも似た点が多くあるという。

日本への投資について

 まずは、税金・税法に対応していかなければならない。日本においても税制や税率が変わってきており、常に現行の税法に準拠できるように大きな投資が必要になっている。顧客が干渉しなくていいように、継続的に提供できるサービスとして、規制対応が必要になった際には即座に対処できるようにしたい。

 言語の違いについても考慮している。製品やサービスだけでなく、マニュアルやヘルプなどの周辺領域についても適切に翻訳されるように注力してきた。機械翻訳では不十分な部分にも優れた訳文を用意することで、新しい機能などを理解してもらえるように支援していく。

 人材への投資も進めている。ローカルの文化を知っているだけでなく、業種や業界のことを熟知していることが重要だ。NetSuiteを成功させるために、日本の市場を理解している広範な能力を持ったチームを構築していきたい。

Oracleとの連携について

 Oracleのクラウド基盤「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を使って、NetSuiteを提供できるようになったことが最大のメリットだ。各国のデータセンターを活用して、新規市場へ迅速に参入できるようになった。

 OCIの東京リージョン(5月を予定)が提供開始されれば、NetSuiteも東京にデータセンターを持つことができる。かなり早い段階で対応する予定だ。データを国内のサーバに保管できれば、企業における導入のハードルを下げられるだろう。

 また、データセンターまでの距離を短くすることで、アプリケーションのパフォ―マンス向上につながるというメリットもある。さらに、「Oracle Autonomous Database」の自律化機能を使えば、利用企業の環境に特化したデータベース環境を自動運用することも可能になる。

(取材協力:日本オラクル)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. クラウドコンピューティング

    生成 AI の真価を引き出すアプリケーション戦略--ユースケースから導くアプローチ

  3. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]