矢野経済研究所(中野区)は4月8日、国内クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場に関する調査を発表した。市場規模推移や予測、今後の動向などをまとめている。
2018年のIaaS/PaaS市場を事業者売上高をベースに見ると、堅調に推移したという。2017年同様に既存システムのクラウド移行が市場を牽引。前年比133.3%の3200億円になると推計している。
年商数百億円以下の中堅、中小企業ではクラウド基盤サービスの利用が一般化。パブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスなどのシステム環境を組み合わせて使うハイブリッドクラウド利用も増加傾向にあるとしている。
IoTや人工知能(AI)を活用して新しい価値を持たせるデジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤としては、2018年は概念実証(PoC)が中心で、期待されたほど大きな効果を生まなかったと総括している。
一方、2018年10月以降からはビジネスへの実装の兆しが見られるという。2019年の国内IaaS/PaaS市場は前年比131.3%の4200億円と見通しており、PaaSの拡充とDXが市場を成長させる大きな要因になると説明している。
また、ユーザー企業の基幹系システムのクラウド移行による使用量拡大なども期待されるという。一例として、2000社以上の企業が導入するといわれる「SAP ERP 6.0」などの保守期限が切れる「2025年問題」を挙げている。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure上で「SAP S/4 HANA」構築を検討する企業に加え、基幹系システムのクラウド移行事例も増加。今後の市場拡大要因のひとつになるとしている。
基幹システムは、いまだにオンプレミスの割合が高く、クラウド移行に伴う商談規模が大きいという。サービスを提供するクラウドベンダーにとって市場開拓のポテンシャルが非常に高く、国内IaaS/PaaS市場の2016年から2022年までの年平均成長率(CAGR)を29.3%と予測。2022年には8400億円に達し、今後も高い成長が継続するとしている。
クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所)