IDC Japanは4月9日、国内のプリント(印刷)環境に関する調査結果を発表した。プリンターおよび複合機の導入状況、働き方改革と印刷量との関係、将来の展望などに関する考えを明らかにした。調査対象は、国内ユーザー企業でプリンターや複合機の導入判断あるいは提案に携わる800人。働き方改革が印刷量に与える影響を明らかにするとともに、国内市場の中長期的な変化を予測するための基礎データとすることが目的である。
現在、国内企業が取り組んでいる働き方改革のうち、特に従業員の移動を促す活動は、印刷量にマイナスの影響を与えることが分かった。具体的には、オフィス内で自席を決めず自由に執務場所を選ぶことができるフリーアドレスオフィスの導入は、42.2%の回答者が「プリント量に大きくマイナスの影響がある」「マイナスの影響がある」と答えた。オフィス外で業務遂行を推進するテレワーク活動については、38.3%が「大きくマイナス」「マイナスの影響がある」とした。
だが、42.9%と最も多くのユーザー企業が実施している残業時間の短縮活動に関しては「プリント量にマイナスの影響がある」とする回答者だけではなく、「プラスの影響がある」とした回答者もある程度の割合で存在している。また、有給休暇取得の向上やフレックス制など、労働時間短縮に関する働き方改革活動についても同様の傾向が見られ、こういった活動は印刷量にほとんど影響を与えないと考えられる。
一方で、10年後の印刷量の予測については、全ての企業規模において、50%を超える回答者が「減少するだろう」としている。特に、働き方改革への取り組みに積極的な企業ほど、将来は印刷量が減ると考えている割合が高い。そのため今後、企業の働き方改革の取り組みが進むことで、印刷量の減少が加速する可能性がある。
今回の調査で、企業の働き方改革における活動のうち、従業員の移動に関する改革が印刷量にマイナスの影響を与える可能性があること、そして働き方改革が進むことで印刷量が減少する可能性が高いことが分かった。IDC Japanのイメージング、プリンティング&ドキュメントソリューショングループマネージャーを務める石田英次氏は「今後、国内において、従業員のモビリティを高める働き方改革が浸透し、プリント量が減少することが予想される。ベンダーには、オフィス外でのモバイルワークを前提とした新たな働き方に対し、常に最適なプリント環境を提供していくことが求められる」と述べている。