RPAは常にMLを利用するとは限らず、歴史的にはプロセスの自動化規則をシステムに学習させるのではなく、開発者自身がソフトウェア内に規則を詳しく指定するかたちで実現されてきた。このため自動化と、(開発者がコード化してきたプロセスを自動化する手順としての)MLの区別はしっかりとつけておく必要があるものの、Forresterは将来的にRPAにおいてMLがより大きな役割を果たすようになると予測している。
Forresterの「Predictions 2019: Artificial Intelligence」(2019年予測:人工知能)には「企業は、MLやテキストアナリティクスといったAIのビルディングブロックテクノロジーとRPA機能を組み合わせ、デジタルワーカー向けに著しい価値を既に生み出している」と記されている。同社は、RPAソフトウェアの制御におけるチャットボットの役割や、IoTデータからパターンを抽出して「デジタルワーカー」に指示を与えるMLモデル、RPAの能力を引き上げるテキストアナリティクスの利用を予測している。
しかし現時点において、MLを本番環境で使用している企業はさほど多くなく、企業の大半はMLシステムの試用段階か、MLを活用した機能が搭載された「Gmail」のようなサービスを使っているだけの状況だ。
ウォーリック・ビジネス・スクールの実務教授であるMark Skilton氏によると、「企業はRPAを導入している--私の見積もりではそこそこの、すなわち20〜30%の企業プロセスにおいて、RPAによる自動化が実現されている。ただし、MLについては非常に小さな分野に限られている」という。
とは言うものの、企業は将来における新たな効率性と、新たな製品やサービスに向けた扉を開くうえでの、MLシステムの潜在能力に気付いているようだ。O'Reillyのレポートによると、回答者の3分の2近くは次年度にIT予算の少なくとも5%を「AIプロジェクト」に投資する計画だという。
Forresterのレポートに記されている「自社で自動化テクノロジーを採用した際の最大の利点は何か、あるいは何になりそうか?」という質問に対する回答(下表参照)を見ても分かるように、企業が自動化に向けた投資で最も高い優先順位に据えているのはコスト削減だ。
提供:Forrester Research
後編に続く。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。