Googleの年次カンファレンス「Google Cloud Next '19」が4月9日(米国時間)、米国サンフランシスコで開幕した。同イベントは3日間にわたって開催され、クラウドサービス「Google Cloud Platform」(GCP)を中心に戦略やサービスが発表される。

Google CEOのSundar Pichai氏
初日の基調講演の冒頭、姿を見せたのは、Google 最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏。Pichai氏は、「Googleにとってクラウドは最も大規模に投資している分野のひとつだ」として、今回韓国ソウルと米国ユタ州ソルトレイクシティに、Google Cloudの新たなリージョンを開設すると発表した。両リージョンは2020年にオープンする予定だ。
なお、Googleは日本で2カ所目となる大阪リージョンの開設を既に発表しているが、同リージョンは数週間以内にオープン予定だという。
ハイブリッドクラウドプラットフォーム「Anthos」を発表
Pichai氏に続いて登壇したのは、2018年12月にGoogle CloudのCEOに就任したThomas Kurian氏だ。これまでOracleの役員を務めてきた同氏がGoogle Cloudのトップに立ったことで、GCPのエンタープライズ分野での戦略が改めて注目されている。

Google CloudのCEOのThomas Kurian氏
Kurian氏が発表したのは、ハイブリッドクラウドプラットフォーム「Anthos」だ。
Anthosは、Googleが2018年に発表した「Cloud Services Platform」からブランド名を変更したもので、今回の発表と同時に一般提供を開始した。Anthosを使えば、アプリケーションをGCPだけではなく、オンプレミスのデータセンターや他社のパブリッククラウドなど、あらゆる場所で実行できるようになり、「Write once, run anywhere(一度書けばどこでも動く)」が実現するという。
Anthosはソフトウェアベースのソリューションで、既存のハードウェアから実行可能だ。Google Kubernetes Engine(GKE)がベースとなっており、最新機能のアップデートやセキュリティパッチを自動で取得できる。Googleがマネージドサービスとして提供するため、オンプレミスや他社クラウドも含めハイブリッド環境をまとめてGoogleが運用する。
Kurian氏はさらに、クラウドへの移行ツール「Anthos Migrate」のベータ版も同時に発表した。同ツールにより、仮想マシンをオンプレミスや他のクラウドからGKEのコンテナに自動的に移行できるとした。
オープンソースソフトウェアベンダーとの提携
基調講演では、データ管理やデータ分析を手がけるオープンソースベンダーとの戦略的パートナーシップも発表。Confluent、DataStax、Elastic、InfluxData、MongoDB、Neo4j、Redis Labsと提携し、各社のサービスをGoogleがマネージドサービスとして提供するという。これにより、Google Cloud Consoleを使って各サービスを単一のインターフェースで管理できるようになる。請求もGoogle Cloudに統一されるほか、サポートもGoogle Cloudを通じて一貫した管理や記録が可能となる。
サーバーレスコンピューティングプラットフォーム「Cloud Run」
さらにGoogleは、コンテナ型アプリケーション向けのサーバーレスコンピューティングプラットフォーム「Cloud Run」も発表している。Cloud Runはフルマネージドのサーバーレス実行環境で、オープンAPIとランタイム環境のKnativeがベースとなっている。これにより、ユーザーはワークロードをオンプレミスや複数のクラウド上で実行することが可能で、アプリケーションのポータビリティが実現するという。
Kurian氏は、「Googleはグローバルスケールのインフラでデータを管理し処理することで、グローバル企業のデジタル変革を支えている。われわれのデジタル変革プラットフォームによって、アプリケーションのモダナイゼーションが可能となり、データを分析して知見を得ることができるようになる。こうしたプラットフォーム上でわれわれはパートナーとともにさまざまな業界向けソリューションを提供しているのだ」と述べ、今回発表したさまざまなサービスやパートナーシップがユーザー企業のデジタル変革に結び付くとした。

Googleの「デジタル変革プラットフォームで実現すること」が示された
(取材協力:グーグル)