集中と集約で“ガラパゴス化”脱却--荏原製作所の「構造改革」の実際 - (page 2)

鈴木恭子

2019-04-17 07:15

“野良ロボットは作らせない”でサーバ型を選択

 荏原製作所では「業務の集中/集約化」の一貫としてRPAを導入した。同社では最初にRPAテクノロジーズが提供する「BizRobo!(ビズロボ)」で概念実証(PoC)を行い、ツールを再選定した際に「Blue Prism」を導入したという。

 導入プロセスは2つのフェーズに分けて実施した。最初は業務内容を可視化し、それに基づいてRPA対象業務を選定した上で要件を定義し、ロボットを構築する。そして、ロボット構築後は現場からのフィードバックに基づき、RPA対象業務を追加選定していった。

 こうしたアプローチを採用したことについて藪内氏は「実際にロボットを活用する現場からのアイデアを吸収しながら、適用業務を拡げるのが得策だと考えた」と語る。

 Blue Prismを採用した理由は、既存システムである「Salesforce Lightning」との親和性やロボットの拡張性、信頼性を評価したという。特に、売り上げや支払いといった会計領域での導入も検討していたため、金融機関での導入実績があり、セキュリティ管理や監査証跡管理の機能が充実している点を評価した。

稼働しているロボットの業務適用範囲(一例)
稼働しているロボットの業務適用範囲(一例)

 もう1つの理由として藪内氏が挙げるのは「野良ロボットを作らせたくなかった」ことだ。将来的にRPAを統合管理していく組織の設立を想定していたため、複数のロボットを集中管理できることが条件だった。そうした意味でもサーバ型のBlue Prismは優位性があったという。

 荏原製作所では、2019年1月末の時点で「情報検索」「資料作成」「システム操作・登録」の3分野において、16プロセス(ロボット)が、月間1500時間で約10人分の仕事を担当している。営業から請求・入金にいたるまでの一連のオペレーションのさまざまな領域でロボットが稼働しているのだ。その効果について藪内氏は、「(導入前と比較して)確実にある」と語る。

現在稼働しているロボット一覧
現在稼働しているロボット一覧

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]