“野良ロボットは作らせない”でサーバ型を選択
荏原製作所では「業務の集中/集約化」の一貫としてRPAを導入した。同社では最初にRPAテクノロジーズが提供する「BizRobo!(ビズロボ)」で概念実証(PoC)を行い、ツールを再選定した際に「Blue Prism」を導入したという。
導入プロセスは2つのフェーズに分けて実施した。最初は業務内容を可視化し、それに基づいてRPA対象業務を選定した上で要件を定義し、ロボットを構築する。そして、ロボット構築後は現場からのフィードバックに基づき、RPA対象業務を追加選定していった。
こうしたアプローチを採用したことについて藪内氏は「実際にロボットを活用する現場からのアイデアを吸収しながら、適用業務を拡げるのが得策だと考えた」と語る。
Blue Prismを採用した理由は、既存システムである「Salesforce Lightning」との親和性やロボットの拡張性、信頼性を評価したという。特に、売り上げや支払いといった会計領域での導入も検討していたため、金融機関での導入実績があり、セキュリティ管理や監査証跡管理の機能が充実している点を評価した。
稼働しているロボットの業務適用範囲(一例)
もう1つの理由として藪内氏が挙げるのは「野良ロボットを作らせたくなかった」ことだ。将来的にRPAを統合管理していく組織の設立を想定していたため、複数のロボットを集中管理できることが条件だった。そうした意味でもサーバ型のBlue Prismは優位性があったという。
荏原製作所では、2019年1月末の時点で「情報検索」「資料作成」「システム操作・登録」の3分野において、16プロセス(ロボット)が、月間1500時間で約10人分の仕事を担当している。営業から請求・入金にいたるまでの一連のオペレーションのさまざまな領域でロボットが稼働しているのだ。その効果について藪内氏は、「(導入前と比較して)確実にある」と語る。
現在稼働しているロボット一覧