製品と販売の文脈で鎌田氏は、「われわれの3年間の調査では、すべての方がネットワークの構築と運用について外部委託を希望するとは限らないことが判明。事務所兼自宅で仕事をされる方々には、自分でネットワークを構築したいと考えている。彼らを新たなターゲットとし、DIY向け製品群を自社オンラインサイトとAmazonと複数のオンラインチャネルを通じて提供する」と具体的な手法を述べた。
シスコシステムズ SMB・デジタル事業統括兼東京2020マーケティング担当執行役員 鎌田道子氏
Meraki Goのターゲットとなるのは、小規模企業や小売店、ホスピタリティ業界。最近ではトレーニングジムにスマートフォンを持ち込むことも当たり前になったが、「動画を観ながら運動する場合、LTEだと厳しい場面もある」(鎌田氏)。カフェやレストランでも無線LANを欲する場面が多句なっているが、「Meraki Go1台でスタッフ用と顧客用のAPを提供できる」と鎌田氏はアピールする。
Meraki Goを活用すれば、例えば、個人事務所への来客時に提供するゲスト用SSIDを設定することができる。前述の通り、Meraki Goはモバイルアプリケーションで設定するが、法人利用を想定して、ビデオやファイル共有など用途に合わせて帯域を制限、ネットワーク利用が急増した場合は通知するなどの機能が作り込まれている。
シスコシステムズ ビジネスデベロップメントマネージャー ビジネス開発担当日本アジア太平洋(APJ)地域アーキテクチャセールス 渡邊靖博氏
ビジネスデベロップメントマネージャー ビジネス開発担当日本アジア太平洋(APJ)地域アーキテクチャセールス 渡邊靖博氏は「ポート番号などネットワークに関する知識を必要としない。セットアップは本体背面の2次元コードを専用アプリケーションでスキャンするだけ。また、接続時も2次元コードでスキャンするだけなのでパスワードは不要」とMeraki Goの機能を強調した。
マーケティングについては「シスコは大企業向けと捉えられることが多く、(中堅中小企業担当者は)自分には関係ないと認識される」(鎌田氏)という。同社は2020年の東京五輪のスポンサードを通じてブランド認知度の強化やデジタルマーケティング施策を強化すると説明。その一環としてキャンピングカーを改造した「Cisco Network Experience Vehicle」を披露した。
車体側部にはデジタルサイネージを備え、車内もセキュリティカメラの「Cisco Meraki MV」シリーズやWebexシリーズを用いたコミュニケーションが可能。平常時は全国各地でのデモンストレーションや商談の場として活用し、災害発生時は被災者向けコミュニケーションツール、デジタルサイネージを用いた情報提供、衛星回線やLTEによるネットワークサービス支援を想定している。鎌田氏は「大都市に限らず地方企業の生産性向上に寄与したい」とマーケティング施策を説明した。
シスコの技術を体験できるデモ用車両Network Experience Vehicle。手前は同社の技術などをキャラクターにした「Cisco 5(シスコファイブ)」
車内には至るところに同社製ネットワーク機器が所狭しと並ぶ