日本鋼管病院は、ウイングアーク1stのBI(ビジネスインテリジェンス)ツール「MotionBoard」を導入した。病院経営に必要な指標を可視化し、作成したチャートを院内ポータルに埋め込むことで、病院スタッフ全体の目にとまる効果的なレポート配信体制を整えている。ウイングアーク1stが4月9日に発表した。
同院は、急性期(一般)病棟および地域包括ケア病棟で計395病床を有する川崎市の中核病院の1つ。1990年代から診療報酬請求を担うレセプト電算処理システム、検査や処方などの指示を電子的に管理するオーダリングシステムなどの整備を進め、2012年に電子カルテシステムの運用を開始している。その延長線上で、マネジメント層から「病院経営に関するKPI(重要評価指標)をデイリーで可視化してほしい」という声が上がってくるようになっていた。
しかし、必要なデータは電子カルテなどに保管されているものの、エンドユーザーに分かりやすい形のレポートを作成するには、データをいったんExcelに出力して加工する必要があった。また複数のデータを計算式に組み込まなければ算出できないKPIもあり、すべての作業が完了するまでに1〜2時間程度かかっていた。
そこで2018年5月にMotionBoardの導入を決定し、在院患者数、入退院患者数、病棟別利用率、平均在院日数、全病棟稼働率、診療科別達成率、病棟別看護必要度といったKPIを可視化した。
現在、電子カルテからのリアルタイムでのデータの可視化、KPIの算出、チャートの加工まで、すべてのプロセスがMotionBoardで自動化されている。またExcelを使ってレポートを作成していた場合には避けられなかった手作業はゼロとなり、レポート作成業務の工数削減を実現している。
今後は、地域医療連携を推進していくためのKPIについて、入院患者や外来患者がどの地域から来院しているのか、地図上で居住地域分布を可視化することを目指す。