Dell EMC、HCIの最新技術動向を説明

渡邉利和

2019-04-15 10:59

 デルとEMCジャパン(Dell EMC)は4月12日、コンバージドインフラストラクチャー(CI)システム「Dell EMC VxBlock」の新機能を発表した。現行モデル「Dell EMC VxBlock 1000」のコンポーネントとして、「Dell EMC Unity」「Dell EMC Data Domain」「Cisco UCSサーバー」「VMware vRealize Suite 2018」の各最新コンポーネントがサポートされる。

 発表に併せて開催された技術説明会では、Dell EMCのHCI vアーキテクト、高橋岳氏が同社のCIおよびハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)の概要を紹介した。まず、同社視点でのCIとHCIの違いについては、ストレージの実装形態が、従来型のSAN構成となるのがCIであり、Software-Defined Storage(SDS)を利用するのがHCIだとした。

Dell EMC HCI vアーキテクトの高橋岳氏
Dell EMC HCI vアーキテクトの高橋岳氏

 同社のこの分野の取り組みは、VMware、Cisco Systems、EMCの協業によるCIシステム「VBlock」でスタートしており、その後VMwareがvSANによってSDSを中核機能として実装したことを受け、同社でもSDSを活用したHCIシステム「VxRail」「VxRack」を追加提供している。同氏は、同社のCI/HCI製品の「価値の5本柱」として「設計」「製造」「管理」「サポート」「持続性」の5点を挙げ、より早く、より低コストでITインフラの“モダナイズ(近代化)”が可能だというアドバンテージを強調した。

 また、「VxRailが提供する『4つのしあわせ』」として、「爆速でシステムの導入・拡張ができちゃう!」「アップグレードの手間がめっちゃ省ける!」「システム更改の手間が激しく節約できる!「統合的な保守サポートでトラブル時も安心!」の4つのメッセージを挙げている。

 続いて、同社 アドバイザリ システム エンジニアの中村雅史氏が、SDSソフトウェア「VxFlex OS」に関して説明した。VxFlex OSは、EMCが2013年に買収したScaleIOの「Elastic Converged Storage(ECS) Software」がベースであり、今回、ScaleIOのソフトウェアを使っている製品群を分かりやすくするためという意図で、ScaleIOのソフトウェアを「VxFlex OS」に改称した。製品名に「Flex」という名称が含まれる製品は、ScaleIOのソフトウェアをベースとしているということを意味するという。

Dell EMC アドバイザリ システム エンジニアの中村雅史氏
Dell EMC アドバイザリ システム エンジニアの中村雅史氏

 具体的には、VxFlex OSをSDSシステムに採用したHCI製品として「VxFlex Ready Node」「VxRack Flex」が提供される。VxRail/VxRackがVMwareのソフトウェアインフラをベースとしているのに対し、VxFlex Ready Node/VxRack Flexはマルチハイパーバイザーをサポートする点が違いとなる。なお、VxFlex OSでは、SDSとしてストレージプールを構成するだけではなく、このストレージ領域を従来型のSANとしてサーバーに提供することもできるため、従来型のワークロードと新しいSDSベースのワークロードを混在サポートできる点なども特徴になるという。

 当初のHCIは、当時導入機運が高まっていた仮想デスクトップ基盤(VDI)の環境構築を容易にできる点が注目を集めた結果、逆に「HCIはVDI専用のインフラ」といったイメージもできてしまったという面がある。だが高橋氏は、「今となってはそのイメージは間違いだと言える」と指摘し、国内でも中日新聞や宇宙航空研究開発機構(JAXA)、シンプレクスといった基幹業務のためのインフラとしてHCIを活用しているユーザー事例が出てきていることを紹介した。

Dell EMCによるCIとHCIの違い(出典:Dell EMC)

Dell EMCによるCIとHCIの違い(出典:Dell EMC)

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