クラウド志向のデータ保護を提供、米バートルーが日本参入

國谷武史 (編集部) 2019年04月23日 12時00分

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 GmailやOutlookなどに対応した暗号化サービスを手掛ける米Virtruは4月23日、日本市場への参入を発表、主力製品「Virtru Data Protection」の日本語版の提供を開始した。共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のJohn Ackerly氏は、「この先10年以上使われるデファクトスタンダードを目指したい」と話す。

Virtru 共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のJohn Ackerly
Virtru 共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のJohn Ackerly

 米国ワシントンに本拠を置くVirtruは2012年に創業し、「Trusted Data Format(TDF)」と呼ぶオープンソースのフォーマットを用いて、メールとクラウドストレージサービスに対応したデータ暗号化ソリューションを提供する。米国政府機関や金融、医療、エンターテインメントなど約5000の顧客を抱え、うち3割がG SuiteやOffice 365などのクラウドアプリケーションで、Virtruを導入しているという。

 メールや添付ファイルなどの送受信、共有に向けた暗号化ソリューションは、これまでにもさまざまなものが存在する。Ackerly氏は「PGPやS/MIMEといった幾つもの方式が登場したことで複雑化しており、ユーザーの使い勝手はかえって悪くなった。そこでオープンプラットフォーム志向のTDFを開発し、パートナーと普及を進めている」と話す。

 TDFは、John Ackerly氏の弟で、同氏とともにVirtruを創業したCTO(最高技術責任者)のWill Ackerly氏が、2000年代初頭に在籍した米国家安全保障局(NSA)で考案したという。「2001年の同時多発テロを経験し、Willは、誰もが使いやすく安全に情報を共有できる仕組みを実現したいと考えた。NSAで開発し、CIA(米中央情報局)などの諜報機関でデータ共有に利用していたが、これをオープンにし、商用化も推進すべく弟とVirtruを立ち上げた」(Ackerly氏)

 Virtru Data Protectionでは、メールやドキュメントファイルなどの保護、アクセスコントロール、ポリシーベースの制御(転送やコピーなどの許可/禁止など)、鍵管理、ログ、監査レポートなどの機能を提供する。例えばメールの場合、ウェブブラウザにプラグインを追加するだけで、利用できるようにするなど、従来型のソリューションに比べて使いやすさを高めている点が特徴という。オンプレミスのゲートウェイ向けにソフトウェア製品も用意するが、Ackerly氏は「ユーザーのクラウド移行が急速に進んでおり、遠からずクラウドサービスがメインになるだろう」と話す。

 最近では、有名なIT企業であってもユーザーデータを平文で保管していたことが発覚し、世界的に非難される事態が発生している。Ackerly氏は、「データ漏えい事故の4%しか暗号化されておらず、96%の事案でユーザーの情報が危険にさらされることになった。個人や企業のデータとプライバシーに対する規制が世界的な潮流となっており、組織にとって暗号化は重要な取り組みだ」と話す。

 同社もソリューション提供に伴ってユーザーの「鍵」情報を預かるケースはあるが、「暗号化による厳重な管理を徹底し、当社の関係者がユーザーのデータにアクセスすることは一切できない。FedRAMP(米国のクラウドサービスに関するセキュリティ評価と認証)の認定も受けており、この点にはかなり投資をしているので安心してほしい」とAckerly氏は強調する。

 TDFの普及に向けて特に同社が注力するのは、パートナーの拡大だ。Googleとの協業では「G Suite」への統合を完了しており、GmailやGoogle Driveなどではネイティブ機能のような操作性を実現している。この他にもMcAfeeやIntel、Atos、FireEye、Titus、Cloudn、Netskopeといったテクノロジー各社と協業しており、各社はVirtruのSDK(開発キット)を使って連携ソリューションを提供している。

 国内ではソフトバンクと電算システムがパートナーとなっており、今回の日本市場参入に併せて、パートナー制度「Virtru ベロシティパートナープログラム」を用意するほか、2020年までに全社収益の20%を日本市場が占めるようにすると表明している。

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