第4回ではビジネスシーンで「Chromebook」と「Chrome Enterprise」を利用する際の課題とヒントを紹介いたしました。今回はChrome Enterpriseの方向性と未来についての展望を解説いたします。
4回にわたって、「Chromebookはクラウド利用を前提とするシンプルかつ安心な端末」、「ChromebookやChromeブラウザを企業で利用するためクラウド上で管理するChrome Enterprise」、ということをお伝えしてきましたが、これらの共通点は「クラウドの利用に適している」ということです。
「クラウドを前提」
数年前まではクラウドというと、「セキュリティが心配」「業務系システムでは使いたくない」「そもそもどこにあるか分からないものを信用できない」というイメージを持ち、敬遠されているという話をよく聞きました。
しかし、今となってはクラウドが企業の成長に必要なITインフラの一部となり、どの基幹システムをクラウドへ移行するかを検討し、クラウド上のコンテナ仮想化環境の利用を考え、人工知能(AI)や機械学習を利用した業務改善を必要とするなど、無くてはならないITサービスとなり、ビジネス革新の中心になったといえるでしょう。
Googleはこのクラウドサービスが前提という時代の到来を以前から着目し、クラウドサービスの利用が日常になると分かっていたかのようにChromebookを開発。今から8年前の2011年に発売が開始されました。
Googleが想定したクラウドが前提になる未来は的中し、デジタルトランスフォーメーションに代表されるように以前のビジネス手法から新しいテクノロジーを活用し、変革を起こさなければならない時代になってきました。
Chromebookは従来の環境として代表されるオンプレミスの業務インフラ基盤としても利用できますが、それよりもデジタルトランスフォーメーションによってもたらされるプラットフォームに最適なPCです。いわばデジタルトランスフォーメーションにおけるプラットフォームの一部といっても過言ではありません。
あなたは“クラウドワーカー”?
クラウドを前提にすることで私たちの働き方が変わってきたことはみなさんも実感していると思います。では私たちの働き方はどのように変わってきたのでしょうか。
Googleはクラウドを前提に働く従業員のことを、“クラウドワーカー”という言葉で表現しています。クラウドを利用する従業員は日々クラウドサービスを利用し、場所、時間、利用する端末を気にせず業務を行っています。
では利用者はどのようにクラウドサービスにアクセスするでしょうか? クラウドサービスにアクセスするための基本ツールはブラウザです。そのブラウザを利用した場合の使い勝手は、デスクトップアプリケーションと比べてどうでしょうか?
Forrester Researchが調査した「クラウドワーカー時代におけるテクノロジー再考 日本の動向」によると、ITを利用する従業員の94%がブラウザベースのビジネスアプリケーションはデスクトップアプリケーションと同じように使いやすい、またはブラウザベースの方が使いやすいと回答しています。
ブラウザベースであれば、何種類ものデスクトップアプリケーションを開くこともなくブラウザを立ち上げ、タブを移動するだけで簡単に切り替えることができ、会社で支給されているPC以外のタブレットやスマートフォンでもアクセスすることができます。この調査結果は当然と思われます。
また同調査では、クラウドワーカーの定義を、
- 仕事用にノートパソコンやタブレットを使用する
- 毎日クラウドアプリを使用
- ウェブブラウザで業務を3時間以上使用する
とし、日本にこのようなクラウドワーカーがどれほどいるかを調査したところ、26%の従業員がクラウドワーカーの定義に当てはまるという調査結果になりました。
この調査結果のように26%の従業員はクラウドワーカーとして当てはまる業務を行っているということは、クラウドを前提に考えているChromebook+Chrome Enterprise利用が最適ではないでしょうか。
出典:クラウドワーカー時代におけるテクノロジー再考 日本の動向(Forrester Research)