セールスフォース・ドットコムは4月16日、システムインテグレーター(SIer)の新規パートナーと同社認定技術者を増やすことを目的とした「DXアクセラレーション」プログラムを発表した。日本独自の施策として展開し、エコシステムを拡大させる。
DXアクセラレーションは、セールスフォースのサービス導入案件に対応可能なパートナーが不足しているとして実施するもの。現在約3700人の認定技術者を今後3年間で1万人に増員するほか、SIerパートナーも今後1年で新たに80社程度増やすとしている。
「DXアクセラレーション」プログラムの骨子
同プログラムでは、(1)人材採用支援、(2)コストを抑えた育成、(3)継続的な案件獲得への支援――の3つを掲げる。(1)では、パートナー企業が実施する採用イベントなどをセールスフォースが後援するほか、セールスフォースの技術を学ぶオンライントレーニングサービス「Trailhead」をパートナー向けに開放する。また、人材派遣会社らと提携してIT未経験者を含めたスカウトの実施や、学校機関と提携した学生の採用も推進する。
(2)では、Trailheadや講習会を通じて候補人材がスキルを習得することにより、同社がクラウドの基礎知識を持つ「認定アドミニストレーター」を認定する。その後の実務を通じて、人材がシステム管理者や開発者、プロジェクトメンバーなどで活躍できるようキャリア開発も支援していくという。
候補人材の基礎的な育成をセールスフォースが支援する
(3)では、既存の「Trailblazer(先駆者)」パートナー企業とセールスフォースの審査を経た新規パートナー企業をマッチングさせ、新規パートナー企業が実際のプロジェクトを通じて、Trailblazerパートナーとの関係を構築したり、スキルや技術を高めたりしていけるようにする。さらに、新規パートナー企業が継続的に案件を獲得できるよう、セールスフォースが顧客企業に行う満足度調査の結果を新規パートナーへフィードバックしたり、顧客企業の“成功体験”のノウハウを提供したりするとしている。
新規パートナーが開発案件を持続的に受注できるようにも支援していく
記者会見した常務執行役員 アライアンス本部長の井上靖英氏は、クラウドコンピューティングやモノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)などを活用してデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す企業に必要なIT人材が不足していると説明した。
井上氏は、同社が定義するDXを「IT活用でサービス企業になること」だと述べ、そこでは「顧客接点」を通じて「顧客との関係を再定義」しなければならないと指摘。同社は長らく顧客情報管理システム(CRM)に注力して顧客接点に強みがあると、顧客からDXの支援需要が増えていることから、それに対応できる人材の確保が急務だと語った。
同社は4月11日、好調な国内事業を背景に、社員数を現在の1500人から2024年には3500人規模に増やす計画を発表。また、東京都千代田区にある「日本生命丸の内ガーデンタワー」の全オフィスフロアを借り受け、2021年下期から「Salesforce Tower Tokyo」の名称で主要拠点として活動していく。なお、今回発表した「DXアクセラレーション」プログラムと日本法人の増員計画とは関係がないと説明している。