アイ・ティ・アール(ITR)は4月18日、統合基幹業務システム(ERP)の提供形態、運用形態別の市場規模推移と予測を発表した。2022年度にはSaaSとIaaSでのパッケージ運用が市場の9割を占めるという。
2017年度のERPの売上金額は、前年度比9.3%増の884億円。以降も大企業を中心に基幹システムへの投資は進むという。2018年度は9.4%増、2017~2022年度の年平均成長率(CAGR)も8.4%と、安定した伸びを予測している。
提供形態別ではSaaSが急速に拡大し、2017年度の売上金額は前年度比38.7%増の190億円になるという。2022年度にはERP市場の半分がSaaSになるとしている。
運用形態別で見ると、パッケージ全体は2020年度から減少していく。IaaS向けは継続して拡大する一方、オンプレミス向けが減少していくという。2020年度にはパッケージとIaaSが逆転するとしている。
IaaSのなかではAmazon Web Servicesの比率が高く、Microsoft Azureが続くという。2022年度にはSaaSとIaaS運用のパッケージが9割を占める見込み。
ITRのプリンシパル・アナリストである浅利浩一氏は、「国内と世界経済が不連続、不透明な様相を強めていくなか、企業はデジタル化への取り組みを強化するとともに、ビジネスの基盤となる基幹システム刷新への投資を継続している。労働人口の減少で中長期的な国内ERP市場規模そのものの拡大は考えにくいが、使い続けるシステムの代表であるERPへの投資は、景気が後退傾向になったとしても堅調な推移を見込む」とコメントしている。
2016~2022年度のERP市場規模推移および予測(出典:ITR)