「千葉ジェッツふなばし(千葉ジェッツ)」をご存じだろうか。2016年に開始となった日本のプロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」に、千葉県を拠点として唯一参加するチームだ。端的に表現すると、「強い」になるだろう。リーグの1年目は、18チームを3つの地区に分類し、トップリーグとして構成する「B1リーグ」で東地区3位という成績を収めた。上位8チームで実施するプレーオフ「チャンピオンシップ」に出場、惜しくも1回戦敗退となったものの、翌年の2017年には東地区で優勝。チャンピオンシップでも準優勝に輝いている。
千葉を拠点に活動する千葉ジェッツ(出典:千葉ジェッツふなばし)
リーグ戦と平行して実施するトーナメント「全日本バスケットボール選手権大会(天皇杯)」では、2016年の第92回大会を皮切りに93回、94回と3連覇を達成。94回大会の天皇杯を勝ち取った今シーズンは、B1リーグ第1号として早々にチャンピオンシップ出場を手中に収めた。そのまま東地区連覇を達成し、天皇杯とリーグチャンピオンの「2冠」を狙う位置につけ、間もなく開催されるチャンピオンシップでの優勝候補に挙げられている。
強いだけでなく、その人気も特長の一つだ。創設は2010年とB1チームの中で一番歴史は浅いものの、B1リーグ初年度の平均入場者数は4504人、2年目は15.4%増の5196人。3年目となる今シーズンは5204人と、年を重ねるごとに着実に積み上げてきた。リーグ全体の平均入場者数は初年度2100人、2017年は2900人弱でそもそも千葉ジェッツの他に平均4000人台に到達したチームはない。高い人気と強さを兼ね備えたチームと言える。
今でこそ順風満帆な千葉ジェッツだが、創設当初は苦難の連続だったという。2012年に当時の運営会社のASPE(現千葉ジェッツふなばし、千葉県船橋市)の社長に就任し、現在も代表取締役を務める島田慎二氏は、当時の状態を“弱い”“人気がない”など「潰れるかどうかの瀬戸際」と表現する。日本一を争うような集団へ、どのように変化したのか。ここまでの道のりをきいた。
今にも潰れそうだった千葉ジェッツ--浮上のきっかけは
関わりは、オーナーの1人からの相談だったという。設立した旅行会社を売却、海外旅行などプライベートを謳歌していた当時の島田氏のもとに、立ち上げたばかりのチームのアドバイザーになってほしいという依頼がやってきたという。「時間もあったし、以前お世話になった方からの依頼で、ちょっと手伝うぐらいの感覚で引き受けた」(島田氏)。しかし、ただの傍観者として初めて参加した会議から大きな違和感を感じたという。