IDC Japanは、人工知能(AI)システムおよびロボティックプロセスオートメーション(RPA)の利用状況に関するユーザー企業調査の結果を発表した。これによると、国内企業の62.1%がAIシステムを利用していることが分かった。
AIシステムの利用状況
IDCは、AIシステムを「学習と推論を通じて自己修正するシステム」、RPAは「ソフトウェアによって情報の取得、プロセスの自動化、情報とワークフローの管理を行うもの」と定義している。同調査はこの定義に基づいて2月に実施された。対象は企業の情報システムに対する知識を有している人で1250社(うちAI/RPAに関する回答者は従業員規模100人以上の883社)の有効回答を得た。
企業のAIシステムの利用状況については、「全社的に利用している」と回答した企業は12.3%、「事業部門で利用している」と回答した企業は25.6%となり、2018年4月の調査時からそれぞれ0.4ポイント、3.2ポイント上昇している。また「社内で広くPOC(概念実証)を実施している」の回答者は12.9%、「限定された部門でPOCを実施している」は11.3%で、これらの回答を合計すると、企業のAIシステム利用率は62.1%となる。この結果は、2018年調査の同様の合計値である58.5%から3.6ポイント上昇している。
IDCでは、「社内で広くPOCを実施している」とした回答者が2018年調査と比較して増加していることから、2019年以降はさらに全社的な利用率が上昇すると予測している。
AIシステムの利用目的では、「働き方改革」「経営状況の把握」「経営の改善」の回答が多く、導入時の主要課題では、リーダーシップや組織が多く挙げられている。また継続/拡張時の課題としては「AIシステム導入を進める戦略がない」の回答が多く挙げられた。一方、AIシステムに対するセキュリティやデータに関しては、課題として挙げるユーザー企業が比較的少なく、課題としての注目度が低い結果となった。
RPAの利用状況については、「全社的に利用している」と回答した企業は9.0%となり、2018年調査から2.4ポイント上昇した。また、「限定された部門でPOCを実施」「導入に向けた調査」「利用しない」とした割合も同時に増加していることから、IDCでは、導入サイクルが一巡し、効果などの面から利用継続の判断がなされ、新たな検討/導入フェーズにシフトしていると見ている。
さらに、AI/機械学習の組み込みについては、「対話型教育」や「対話型申請プロセス」の利用目的での回答者が多く、OCR(光学文字認識)による手書き文字や帳票の自動認識などで利用が進んでいることが予想されるとした。