本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、マカフィーの田中辰夫 代表取締役社長と、セールスフォース・ドットコムの井上靖英 常務執行役員の発言を紹介する。
「クラウドセキュリティーの重要性が今後ますます高まってくる」
(マカフィー 田中辰夫 代表取締役社長)
マカフィーの田中辰夫 代表取締役社長
マカフィーが先頃、2019年度(2019年4月〜2020年3月)の事業戦略について記者説明会を開いた。2019年1月に同社の取締役副社長から代表取締役社長に昇格し、米McAfeeのバイスプレジデントも兼務することになった田中氏の冒頭の発言は、その会見で、とりわけクラウドセキュリティーの重要性を訴えたものである。
田中氏が同社の今後の事業戦略における基本的な考え方として述べたのは、「デバイスからクラウドまでを包括的に保護し、データ保護、セキュリティー対策の強化を推進していく」ということだ。その具体的な内容については発表資料をご覧いただくとして、ここではその背景として説明したセキュリティー市場動向の話が非常に興味深かったので取り上げたい。
田中氏はセキュリティー市場動向について、図1を示しながら次のように説明した。
図1:セキュリティー市場動向における4つのポイント
「セキュリティー市場の動きを見る上では4つのポイントに注目している。1つ目はデバイス/IoTで、それらのOSが4つほどに収束しつつあること。2つ目はネットワークで、より複雑かつ不透明になりつつあること。3つ目はクラウドで、ワークロードが一段と移行しつつあること。そして4つ目はセキュリティー人材の不足だ」
この中でも、同氏が一段と声のトーンを上げたのが3つ目のクラウドで、冒頭の発言が続く形となった。
さらに同氏は、クラウドセキュリティーの一環として、機密データの保存先について図2を示しながら次のように説明した。
図2:クラウドサービスでの機密データの保存先
「クラウドサービスの利用が進む中で、66%の企業がOffice 365をはじめとした上位5種のSaaS上に機密データを保存している。また、24%の企業がAmazon Web Services(AWS)などのIaaSおよびPaaS上に同じく機密データを保存していることが分かった」
図2は同社独自の調査に基づく結果のようだが、筆者はこれまでこうした切り口のチャートを見たことがなかったので非常に興味深かった。さらに、同氏は次のように続けた。
「機密データがさまざまなクラウドに保存されるようになってきたのに伴い、サイバー犯罪者のターゲットも当然ながらクラウドへと移行してきており、最近ではクラウドが攻撃を受けて情報漏えいが発生するケースも出てきている。クラウドサービスでのデータ保護責任は利用者側にあるので、利用する企業としては十分に注意が必要となる」
クラウドサービスでのデータ保護責任の所在については、ひょっとしたらまだまだ啓発が必要かもしれない。この機会に田中氏の言葉を借りて訴求しておきたい。