マイクロソフト、.NET向け機械学習プラットフォーム「ML.NET 1.0」のリリース発表

Andrew Brust (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2019-05-07 10:55

 データ科学者向けに次々と機械学習(ML)プラットフォームが提供されるというのは結構なことだが、企業の開発者が使えるようになっていなければ、MLや人工知能(AI)は企業におけるメインストリームにはならない。そのことを最も切実に感じているのはおそらく、昔から開発者を重視しており、現在AIにも注力しているMicrosoftだろう。このため、ワシントン州シアトルで米国時間5月6日に開幕した同社の開発者向け年次カンファレンス「Build 2019」の初日に、「ML.NET 1.0」のリリースが発表されたというのはうなずける話だ。

提供:Microsoft
提供:Microsoft

 20年近い歴史を有する「.NET」が、Microsoftの法人向けソフトウェア開発プラットフォームであることは誰もが知っているはずだ。しかし.NETファミリの最新メンバーである「.NET Core」にはなじみが薄いかもしれない。.NET Coreはオープンソース化されており、同社のOSである「Windows」上だけでなく「macOS」やLinux上でも動作する。その.NET Coreと同様にオープンソースかつクロスプラットフォーム対応でもあるML.NETは、MLに関する各種機能を.NET開発者にもたらすことを目的とした製品だ。

 ML.NETでは、.NET開発者に対してPythonを学習するよう求めるのではなく、C#言語という、Microsoftのメインストリームでよりなじみある環境でのML作業を可能にしている。また同社は、.NET開発者を支援するためのさまざまな使用例もGitHubリポジトリで提供している。

 開発者はML.NETのAPIを直接呼び出したり、より手軽なかたちで従来型のコマンドラインインターフェース(CLI)を用いることができる。ML.NETは、独自のMLアルゴリズム一式(長年にわたってMicrosoftが社内で利用しているML技術に基づいたもの)とデータ型を活用するとともに、深層学習フレームワークとして普及している「TensorFlow」などをサポートする拡張を提供している。さらに、AIモデル配備に用いられるクロスフレームワークに対応した標準「ONNX」もサポートしている。

 ML.NET 1.0のリリースとともに、「Automated Machine Learning」(AutoML)」関連の新しいプレビュー機能や、「ML.NET CLI」「ML.NET Model Builder」などの新ツールのプレビューも追加されている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]