スマートビール:従来のビール醸造がインダストリー4.0に出会う時

Greg Nichols (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子 2019年05月12日 10時00分

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 Sugar Creek Brewing Companyの共同創業者らは泡の問題に直面していた。創業者のJoe Vogelbacher氏とEric Flanigan氏は、自社の製造ラインを流れる一部の瓶ビールに多くの泡が混入しており、そういった製品を取り除かなければならないという状況に頭を悩ませていた。


 この手の話は工場を運営する人であれば誰もが経験する、あるいは多くのサプライチェーンのマネージャーと話をしてきている人であればなじみのあるちょっとした問題の1つだ。そしてほとんどの場合、このような問題は事業運営上の損失として扱われている。

 しかし両氏は、泡の問題が月あたり3万ドル以上の損失という、事業を進めるうえで無視できない水準になっていることに気付いた。このため、IBMBoschに声をかけたのだった。

 伝統的なビール醸造技術と、インダストリー4.0はこのようにして出会った。

 筆者はビールの話が大好きだ。しかもこの話のクールなところは、ビール醸造が世界最古の産業の1つであるとともに世界最大の産業の1つでもあり、文字通り数千年の歴史があるという点にある。醸造プロセスは産業革命の間に徹底的に改良され、新たな醸造設備と製造テクノロジーによってより大規模な統制が可能になった。

 製造分野において新たな産業革命と称されるものの最も初期の段階では、大量のデータを収集するIoTセンサー群と、高度な自動化、人工知能(AI)によって力が生み出されている。ビール醸造は変革に向けた素晴らしい先駆けと言えるだろう。

 泡の問題を解決するため、Sugar CreekはBoschのセンサーを製造ラインに設置し、ビール醸造工程におけるさまざまな情報を取得した。これら豊富なデータは、それ自体では極めて難解で扱いづらいものだ。このため、「IBM Cloud」上で稼働する「IBM Watson IoT Platform」に継続的に投入することで分析し、無駄と停止時間を削減するうえでの価値ある洞察を得ようとしたわけだ。

 Vogelbacher氏は「AIとIoTというテクノロジーは、ビール醸造におけるさまざまな観点をわれわれのチームに教えてくれる。こういった観点は品質の高い製品を効率的に生産していくうえで欠かせない」と述べ、「充填(じゅうてん)時間や温度、pH、重力、圧力、炭酸化、レベルといったパラメーターはすべて、分析のためにIoTクラウドに入力される。このようなデータによって、新たな工程に関する知見を得たり、既存プロセスの洗練が可能になることで、われわれのビールが顧客の高い期待に応えられると自信を持って言えるようになる」と続けた。

 IBM Watson/Boschのインターフェース、そして分析によって検出された問題の1つに、瓶詰めラインでタンクからタンクにビールを移し替える際、圧力と温度を一致させなければ余分な泡が発生し、無駄につながるというものがあった。その結果、ラベル貼り工程に到達する前の段階で、瓶の内容量が不均一になってしまう。このような瓶はラインから除去し、リサイクルする必要があるため、上質な製品が無駄になっていた。

 ライン上での温度と圧力の不一致という、チームが数カ月かかっても見つけ出せなかった問題を解決するだけで、月あたり1万ドル以上のコスト削減を実現した。

 またVogelbacher氏は「現在では問題のある瓶を即座に識別できるうえ、綿密に発酵工程を管理できるようにもなったため、瓶詰めされたビールのフレーバーも向上した」と述べた。

 産業革命においてビール醸造を20世紀に導いた人たちの武器は、テクノロジーだった。新たなIoTテクノロジーと高度な分析によって、そういった遺産に新たな価値がもたらされるのだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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